ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ラブレターをもらったら』

「ラブレター」をめぐるひと騒動です。

   

ハリネズミくんは、

ウサギちゃん リスくんと 森の広場で 待ち合わせです

その途中

てがみを ひろいました

てがみには こうありました

 

  

 「おともだちへ あなたは よろこび、ひかり、

  こころのなかの きぼう。

  あなたがいると おもうと夜だって こわくない

  みんなには みせない、きらきらかがやく えがお。

  あなたが いなくなったら、とってもさびしい。

  あなたのことが だいすきってこと、きづいてる?」

 

ハリネズミくんは、

自分への ラブレターだ、と思いました。

すっかり ごきげんな ハリネズミくん

   

 

でも、ウサギちゃんと いるとき

ラブレターを うっかり 落として しまいました

ウサギちゃんが それを 見つけて

かんちがい

  

 

 「ハリネズミくん、わたしのことが だいすきなんだわ

 

   

ウサギちゃんは、うきうき

どんぐりを リスくんに 渡した時、

うっかり てがみを 落として しまいました

こんどは リスくんが それを見つけて、かんちがい

  

  

ウサギちゃん、ぼくのことが だいすきなんだ

   

   

  

3人が いっしょに なると

みんな、もじもじ 

そして

てがみのことで かんちがいの 仲間割れを してしまいます

ひったくる

つかむ

よこどりすると・・・

てがみが やぶれて しまいました

  

  

  「あのう、すみません」と ネズミさんが いいました

  「それ、わたしが かいた てがみです」

   

  「だれに かいたの」

  「おつきさまです」

   

   

  「ねえ、ラブレターをもらったとき、どんなきもちになった?」

  と、ネズミさんが、みんなに 聞きました

    

  「ごきげんなきもち」「しんせつなきもち」「やすらかなきもち」

   

  「それだけ・・・?」

    

  「とってもあったいきもち!

     


ハリネズミくん、ウサギちゃん、リスくんの微笑ましい勘違いでした。ラブレターをもらったら、どんな気持ちになるのか、ネズミさんに尋ねられたとき、3人は、ごきげん、しんせつ、やすらかな気持ちだといいますが、ネズミさんは「それだけ?」と問い直します。すると、みんな、「とってもあったかいきもち!」と、言いなおしました。みんなは、じぶんのまわりに、自分のことを愛してくれる、大切な友だちがいることに気づきました。みんなは、自分のこころを発見しました。

     

初めて読むときには、「だれへのラブレターなのだろう」と登場人物と同じように考えます。しかし、読み返すと、「あなたがいるとおもうと、夜だってこわくない」「きらきらかがやくえがお」という言葉が、お月さまへの語りかけとして新しい意味を帯びてきます。読者もまた、登場人物とは別のかたちで「もう一度読む喜び」を味わうことができます。

     

ネズミさんの手紙は、言葉がとても丁寧で、お月さんを愛する気持ちがこもっています。言葉は、相手がいないときにも、その人を温かい気持ちにする力をもっています。だからこそ、ラブレターは特別なのです。

             ・・・

※『ラブレターをもらったら』 アニカ・アルダムイ・デニス作、ルーシー・ルース・カミンズ絵、石井睦美訳、BL出版、2020年  (2026/8/5)

SHARE