ふるはしかずおの絵本ブログ3

『かべのむこうになにがある?』  

赤い壁に かこまれた世界に どうぶつたちが すんでいました

そのかべが

いつから あるのか
どうして あるのか
だれも  しりません

   

 

ある日

ちいさなねずみが かんがえました

   

 「この かべの むこうに なにが あるんだろう?

   

ねこ

くま

きつね

らいおんに きいて まわります

    

外は、こわいものが いっぱい

なんのために つくられたのか しらない

むずかしいことを かんがえるなよ

なにもない、はてしない 闇だ

と、言われました

    

   

ある日

ねずみは そらいろのとりに たのみました

  

 「とりさん、あなたの せかいに つれてって

  

とりの せなかに のって

ねずみは かべを とびこえました

   

そこは

いろいろな いろが あふれた ゆめのような 世界でした

   

 「ほんとうのものを みる ゆうきが あれば

  かべは きえる」

  

ねずみは、みんなのところに かえります

ふしぎなことが 起こっていました・・・

   

 「かべが ない!」

 「そんなのは はじめから なかったのさ

     

   

ねずみの はなしを きいて

ひとり また ひとりと

かべを すりぬけて でて いきました

  

            ・・・

外の世界を見てきたねずみが「かべがない!」と言うと、とりが言いました。「そんなのは はじめから なかったのさ」と。「かべ」は、わたしたちの心にあるものだと言っています。
   
 
 
また、とりは、こんなことも言っていました。「ゆうきが あれば ほんとうのものが みえる。いきていれば たくさんの かべに であうものさ。でも、その ほとんどは ただの まぼろしだ」。

 
「かべ」を心の在り方にもとめる考えには、いろいろな意見があるだろうと思います。

         

現実には、差別や貧困など心の持ち方だけでは消すことのできない「かべ」があります。問題をすべて個人の心に帰してしまうことはできませんが、「かべ」の存在を疑い、「かべ」の向こうを想像してみる勇気をあたえます。
   
 
自分のなかに、自分で「かべ」をつくっていないか、またそれは乗りこえられない「かべ」なのか、一度考えてごらんと、絵本は子どもたちに語ります。

     

           ・・・

※『かべのむこうになにがある?』 ブリッタ・テッケントラップ作、凬木一人約、BL出版 2018年 (2026/8/26)

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