ふるはしかずおの絵本ブログ3

「おてがみ」-悲しいときも、うれしいときも、ふたりはいっしょ

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すてきな友情の おはなし。そして、ユーモアの美が、いっぱいの絵本です。

     ・・・

かえるくんが、がまくんの家にやってきます。

「がまがえるくん。 きみ かなしそうだね。」

「うん、 そうなんだ。」

がまくんは、おてがみを一度も、もらったことが ないのです。

 (えっ。ほんとに?)

ふたりとも かなしい きぶんで げんかんの まえに こしを おろしていました。  ( かえるくんまで!? )

すると、かえるくんは 大いそぎで 家へ帰りました。

 (どうして 家へ 帰ってしまうの? )

そして、かみに なにか かきました。

 (何を 書いたの かな?)

「 がまがえるくんへ 」

     ・・・

手紙を、かたつむりに託しました。かたつむりは言います。

「まかせてくれよ。  すぐ やるぜ。」

 ( ユーモアですね。 再読するとよくわかります。)

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このあと、

かえるくんは、

かまくんの家にもどって、手紙がくるのを 待ちました。

ふたりの 対照的な気持ちの くりかえしです。

かえるくんは、

もうちょっと

ひょっとして

きょうは

だれかが きみに おてがみ くれるかもしれないよ、と励まします。

しかし、がまくんの失望感は、ますます高まります。

     ・・・

とうとう、

かえるくんは、秘密をもらしてしまいました。

「ぼくが きみに てがみ だしたんだ 」。

 (どんな 手紙を だしたのかな? )

しんあいなる がまがえるくん。ぼくは きみが ぼくの しんゆうで ある ことを うれしく おもっています。きみの しんゆう、かえる 

「ああ」

がまくんが いいました。

「とても いい てがみだ。」

 (がまくんも やさしい人物です)

     ・・・

ふたりとも とても しあわせな きもちで そこにすわっていました

     ・・・

こまった ときに たすけ、

かなしい ときも、

うれしい ときも、 いっしょ。

お互いを 思いやる 温かな世界です。

また、三木卓さんの訳文は、やわらかな 木綿のような肌触りです。

     ・・・

ところで、かたつむりは?

4日たって おてがみを 渡しました。

     ・・・

※ 『 ふたりは ともだち 』  ( アーノルド・ローベル作、 三木卓訳、 文化出版局  1987年 )のなかに、「おてがみ」はあります。ほかに「はるがきた」「おはなし」「なくしたボタン」。どれも ふたりの友情を描いたユーモアあふれる作品です。

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