ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 ジルベルトと かぜ 』- 風を見る、風にふれる、風の音をきく

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風と 
遊ぶ。
戯れる。
ジルベルト( 表紙の子ども )と 風の ふれあいを描きました。
     ・・・
おーい、
かぜが 戸口で呼ぶと、
ぼく( ジルベルト )は、風船をもって 外へ。
かぜは、突然、風船を さっと木のうえに もっていき、
ぼくに かえしてくれない。
      
かぜは、洗濯物とあそぶのも 好き。
ふ
かぜは、ぼくの傘を こわし、
木戸を ぎしぎし きいきい ゆすり、
ぼくと かけっこ。
ぼくは、凧を あげる。
でも、かぜは、ぼくの凧を、飛ばしてくれない。
 きみなんか きらいだよ、きょうは!
     
でも、
かぜは、りんごの実を 木から落としてくれる。
おもちゃの帆船を 走らせ、
風車を まわし、シャボン玉と あそぶ。
     
しかし、
かぜが、強くなって、
木を 折ったり、
柵を こわしたりすると、
ぼくは、こわくなって 家にかけこむのです。
3
かぜを みて
かぜに ふれて
かぜの音を きいて
読者は、ちいさなジルベルトと、いっしよに風を感じていきます。『 わたしと あそんで 』(エッツ作)と同じように、子どもの繊細な感受性にうったえます。 風だって、子どものあそび 仲間。 風は「もの」ではなく「こと」。 現象です。 でも、その風を体いっぱいに感じてほしい作者の願いが見えます。風と遊べるなんて、なんとすばらしいことでしょう。マリー・ホール・エッツ(1895-1984)は、子どものこころにふかく寄りそう作品を数多く描きました。
     ・・・
※『 ジルベルトと かぜ 』 マリー・ホール・エッツ 作  たなべいすず訳 冨山房 1975年
【 エッツの 絵本 】
・『 赤ちゃんの はなし 』 坪井郁美訳 (福音館書店 1982年)
・『 あるあさ、ぼくは… 』 間崎ルリ子訳 (ペンギン社 1981年)
・『 いどにおちた ぞうさん 』 田辺五十鈴訳 (冨山房 1978年)
・『 海のおばけ オーリー 』 石井桃子訳 (岩波書店 1974年)
・『 おやすみ、かけす 』 間崎ルリ子訳 (大日本図書 2008年)
・『 きこえる きこえる』 舟崎靖子訳 (ブッキング 2007年)
・『 クリスマスまで あと 九日 』 田辺五十鈴訳 (冨山房 1974年)
・『 ちいさな ふるいじどうしゃ 』 田辺五十鈴訳 (冨山房 1976年)
・『 ねずみのウーくん 』 田辺五十鈴訳 (冨山房 1983年)
・『 ペニーさん 』 松岡亨子訳 (徳間書店 1997年)
・『 ペニーさんと動物家族 』 松岡亨子訳 (徳間書店 1998年)
・『 ペニーさんのサーカス 』 松岡亨子訳 (徳間書店 2014年)
・『 また もりへ 』 間崎ルリ子訳 (福音館書店 1969年)
・『 もりの なか 』 間崎ルリ子訳 (福音館書店 1963年)
・『 モーモーまきばのおきゃくさま 』 山内清子訳 (偕成社 1969年)
・『 ロベルトの てがみ 』 小宮由訳 (好学社 2016年)
・『 わたしと あそんで 』 与田準一 (福音館書店 1968年)
                        (2016/8/2)

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