
12月のカナダ 森のビーバー池が 凍りつく
アイスホッケーを するときが きた。
満月の日
午後4時に 出発
ぼくらは ひざまで 雪に うもれながら すすむ
ウサギの 足跡を たどりながら
カラマツの 森を とおりぬけた
ビーバー池に ついたとき
ズボンは 雪で びょぬれ
火を おこし からだと スケート靴を あたためる
雪を はらいのけると まっさらな スケートリンク
月が のぼりはじめた
ぼくらは いっせいに すべりだした
「フェイスオフ!」
試合が はじまった
月明かりで ぼくらの ほそい影が いったりきたり こうさする
あせ びっしょり
あせは いっしゅんで こおって たまになる
ぼくらは よろよろと きしべに もどり
雪の上に たおれこんだ
つめたい 空気を すいこんで
むねが ひりひりする
月のまわりに 輪っかが 見える
危険な 寒さが せまってきた あいずだ
「そろそろ ひきあげよう」

あつあつの 紅茶を のんで
焼いた サンドイッチを たいらげる
さあ、かえろう
びしょぬれの ズボンは ガチガチ
ジャケットの フードは 鉄のかぶと みたいだ
家に着き
ベッドに はいり、毛布に くるまっても なかなか ねむれない
月が ぼくに ささやきかける
もういちど いっしょに すべろうよ、と
12月の夜、凍てつく寒さのなか、ビーバー池でアイスホッケーをする子どもたち。「髪の毛と耳に とびちった汗のつぶが、いっしゅんで たまになる」「つめたい空気を すいこんで むねが ひりひりする」。寒さが伝わります。このような寒さのなかで、ぼくらは、夢中になって、アイスホッケーをしています。
満月は、スケートリンクを照らしだしていますが、この世界全体を彩っています。冷たく、うつくしい月夜のイメージです。
また、「月のまわりに 輪っかが みえる」というのは、月暈(つきがさ)という自然現象です。細かな氷の結晶が漂っていると、月の光がそれに屈折して、月のまわりに円い光の輪が現れます。この現象が現れると、放射冷却が進み、急激に気温が下がる危険があります。その危険を理解している子どもたちです。
※『つきよのアイスホッケー』 ポール・ハーブリッジ文、マット・ジェームス絵 むらおかみえ訳、福音館書店 2023年 (2026/1/19)









