ふるはしかずおの絵本ブログ3

『うそ』- 散歩しながら「うそ」について考える、ぼく

谷川俊太郎さんの詩「うそ」に、「ぼく」が犬と散歩する絵を描いた中山信一さん。

詩と絵を、要約しながら、紹介します。

 

 

 ぼくは

 きっと

 うそをつくだろう

 

 

犬と散歩にでかける ぼく (絵)

 

 

 おかあさんは

 うそをつくなと いうけど

 

 

アリが食べ物を運ぶのを見る ぼく (絵)

 

 

 いっていることは うそでも

 うそをつく きもちは

 ほんとうなんだ

 

 

いぬは こわい顔を しています

プードル とすれ違う (絵)

 

 いぬだって

 うそをつく

 かもしれないと想像する ぼく

 

 

雨が ふってきた

雨宿りする ぼくと いぬ (絵)

 

 

 あやまって すむような

 うそはつかない

 

 

雨があがり

水たまりに うつる 自分の姿をみる ぼく

公園で ぞうの滑り台を すべる

ぼくと いぬ (絵)

 

  

 ぼくは うそといっしょに いきていく

 

 ぼくは なんども うそをつく

 と、思います

 

 

夕日のなかを 家に帰る ぼくといぬ (絵)

 

           ・・・

犬と散歩しているぼくが、散歩の途中に出合ったことが、絵に描かれています。詩は「ぼく」の心のなかの思い・考えを表現しています。「ぼくは/きっと/うそをつくだろう」から、「ぼくは/なんども なんども/うそをつくだろう」と考える「ぼく」です。詩は、ある意味、重大なことを表現しています。でも、絵は、散歩をする「ぼく」を軽妙な感じで描いています。

     

   

読者は、絵と文のあいだを行き来しながら、「ぼく」の心を想像していきます。自分のなかにもう一人の「ぼく」をつくっていきます。

   

  

絵本のなかの「ぼく」に、自分をみます。

そして、自分のなかに、絵本の「ぼく」をみます。

  

  

絵本の「ぼく」と自分とのあいだを行き来するなかで、読者自身の「ぼく」も、少しずつ形をあらわしてきます。

            

     

※『うそ』 谷川俊太郎作、中山信一絵、主婦の友社 2021年

   

 

【追記】

「この絵本に登場する男の子は、口に出しては何も言いませんが、心の中にいろんな気持ちが渦巻いているようです。うそとほんと、良いことと悪いこと、美しいものと醜いもの、どっちかに割り切れないところに、生きていることの本当の姿があります。それを少しずつわかっていくのが、大人になるということではないでしょうか」(谷川俊太郎さんのあとがき)年

SHARE