ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ドアがあいて・・・』- おもちゃたちの表情がかわる

しーんとしている おもちゃの病院の 待合室。

壊れたおもちゃたちが、診察の順番を待っている。

おもちゃと一緒に、スリルとサスペンスを体験します。

    

      ・・・

ドアが開いて、ひとり 出て来た。

      

 コトコトコトコト!

 

 

ぺんぎんが はいって行く。

 カッターン、カッターン!

  

 待合室は4人になった。

 

      ・・・

ドアが開いて、ぺんぎんが 出て来た。

 カッタン、カッタン、カッタン、カッタン!

  

 カッターンから カッタンへ

 ペンギンのおもちゃは なおったようです。

 

     ・・・

つぎは、あひるの おもちゃ

 ゴロン、ギギギ・・・ゴロン、ギギギ・・・

 

 待合室は3人になった。

でも、出てきたときは、

 コロン、コロン、コロン、コロン。

  

    ・・・ 

くまの ぬいぐるみは、

 「あいたたたたた・・・」

  

 待合室は2人になった。

 

でも、出てきたときは、

 「ラララララーン!」

 

    ・・・

かえるの おもちゃは、

 ババビョン、ババビョン・・・。

診察室に 入っていく。

  

だれも いなくなってしまった。

待合室は ぼくひとり

 

でも、出てきたとき、

かえるの おもちゃは、

 パピョーン!

飛び跳ねています。

   

ぼくの番だ。

ドアの向こうにいるのは、どのようなお医者さんなのでしょうか?

ぼくは、優しいお医者さんをみて、ほっと一安心です。

   

壊れたおもちゃたちには、順番を待つ緊張感があります。おもちゃもドキドキ、読者もドキドキです。診察室に入るときと出るときの擬態語が、この作品の妙味です。「ゴロン、ギギギ・・・ゴロン、ギギギ・・・」から「コロン、コロン、コロン、コロン」、「ババビョン、ババビョン・・・」から「パピョーン!」へ。「音」の部分をすこし大げさに演出してください。

 

シンプルな絵本ですが、読み手には語りの演出の楽しみが、読者にはドキドキの体験があります。

      ・・・

※『ドアがあいて・・・』 エルンスト・ヤンドゥル作、ノルマン・ユンゲ絵、斎藤洋訳、ほるぷ出版  1999年  (2022/10/20)

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