ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 のぞく 』- 見ることは、好奇心を刺激する

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「のぞく」というタイトルは、とても魅力的です。
読者の興味を引きます。
わたしたちも、絵本を のぞいてみましょう。
     ・・・
シャッターのなかを のぞく(表紙)、
土管のなかを のぞく
 あなは しらない せかいに つうじている。
 やみの せかい。ゆめの せかい。
 きのうの せかい。 
 あすのせかい。

     ・・・
マンホールを のぞく、
幕にあいた あなを のぞく、
窓を のぞく、
地面の あなを のぞく、
防波堤のむこうを のぞく、
ふふ
 すてられた ビンや カンになってみよう。
 すてられた ビンや カンの なかから、
 にんげんの せかいを のぞいてみよう。
( 上の写真 )
     ・・・
まどから ビルのなかを のぞく。
つりがねのなかを のぞく。
望遠鏡、
双眼鏡、
顕微鏡を のぞく。
聴診器で からだを のぞく。
     ・・・
「のぞく」ことは、知らない世界に足をふみ入れることです。・・・知らないものを知りたいとのぞむこころ。好奇心。それをもつことで、人間は想像力というふしぎな翼をもつどうぶつになったのです。
えお
コラムニストの天野祐吉、写真家の後藤田三朗、イラストレーターの大社玲子の絵本です。好奇心・想像力の大切さを語る文章、白黒のユーモアのある写真、洗練されたデザインの絵本です。また、穴あきのしかけ絵本でもあります。みみずくの目に抜かれた穴は? 裏返すと星座。 穴のしかけを読者は、きっと「のぞき」込むことでしょう。
のぞいていることを、写真に撮られている人たち。
 ( のぞいている人も、写真家と読者に のぞかれている。 )
 ( 「のぞく」があるなら、「さわる」があってもいいね。 )
     ・・・
※『 のぞく 』 天野祐吉 作、後藤田 三朗 写真、大社玲子 絵、 福音館書店 2006年
【 追 記 】
大岡信さんに「さわる」という詩があります。わたしの好きな詩ですが、こうした詩や『 のぞく 』のような絵本を題材にして、やや抽象的ですが「さわる」や「のぞく」をテーマにした保育の実践を期待します。さまざまなものにさわったり、のぞいたりして、子どもの豊かな感性を育ててほしいと思います。  (2018/1/22)

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