ふるはしかずおの絵本ブログ3

『わたしがいじわるオオカミになった日』

いじめられる側だった子が、いつのまにか、いじめる側に近づいてしまう。

そんな心の動きを描いた絵本です。

  

      

オオカミが、こわい エマ

目を ぎらっと ひからせて、いきなりが がぶっと かみついてくる

「オオカミは、おはなしのなか だけだよ」と おとなは言う

でも、学校にも いるよ

それは エルザ

    

    

ある日

「エマの のろま! まぬけの トンマ!」

エルザは、オオカミに 変身したの

   
   
エルザは、どんどん いじわるになっていく

わたしは、

おなかが おもたくなり

わらうことも あそぶことも たべることも できないの

もう、エルザとは 遊びたくない

   

 

休み時間、

エルザは、シモンを からかった。

 

  

 「バッカみたい!・・・

  エマ、あんたも なにか いいなよ」

   

わたしは、オオカミに なっちゃった

家にかえり、ママに、ぜんぶ はなしたの

ママは、おしえてくれたよ

  

   

 「すごく かなしかったり、おこっていたりすると、

  きもちが わっと あふれだして だれでも 

  オオカミに へんしんしちゃうことが あるの」 

    

   

つぎの日、わたしは エルザに言った。

  

 「どうして そんな いじわるばかり するの?」

  

シモンにも 言ったの。

  

 「あっちで あそぼ」

   

ふたりなら、「だいじょうぶ」って おもえるよ

いっしょに いっぱい あそぼうね!

  

             ・・・

ベルギーの病院で、心理カウンセラーとしても活動する、心理学者が描いた絵本です。

 

いじめられる苦しさだけでなく、誰かを傷つける側に加わってしまう心の動きも、エマの視点から描かれています。エマは家に帰り、お母さんにすべてを話します。お母さんは、悲しみや怒りがあふれると、誰でもオオカミに変身してしまうことがあると話してくれました。

      

翌日、エマはエルザに「どうして そんな いじわるばかり するの?」と尋ね、シモンを遊びに誘います。 いじめが、いつもこのように解決するとは限りませんが、自分の気持ちを誰かに話し、相手に問いかけ、違う行動を選ぶ。そんなエマの一歩が描かれています。 いじめを、いじめる側といじめられる側に分けるだけでは見えてこない、子どもの心の複雑さを考えさせられる絵本です。

             ・・・

※『わたしがいじわるオオカミになった日』 アメリ・シャヴォー文、アニック・マソン絵、ふしみみさお訳 バイ インターナショナル  2022年

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