
電車のなかにトラがいることは、ペニーだけが知る秘密です。
ペニーは
おとうさんと 地下鉄に のりました
電車は 満員です
ペニーは、おとうさんと しっかり 手を つなぎました
あれ?
人と 人の すきまから のびているのは・・・
しましまの しっぽ!?
吊革に つかまっているのは
トラの まえあし!
「おとうさん、 トラが いるよ」
「あれは てぶくろだよ」
「あしを 見てよ しましまで けむくじゃらだよ」
「じろじろ 見たら しつれいだよ」
電車が つぎの駅に つきました
男の子が、うさぎの ぬいぐるみを 落としました
トラは、いなずまのような はやさで
うさぎに とびかかりました
ペニーは
うさぎの ぬいぐるみを ひろいあげ
トラと なにか はなしているようです
(言葉がなく、絵が表現しています)
トラは
ペニーの はなしが わかったようです
うさぎを
電車のドアが しまる時
ぽーんと 男の子に ぬいぐるみを なげました
「すごい、すごい! かっこよかったよ」
降りる駅で
ペニーは トラに 手をふると
トラも あいさつを かえしました

そして、おおききな声で
ガガガガーオーッ
おとうさんは
「やれやれ、ちかてつって うるさいなあ」とぼやき、
トラのことは 気がつきませんでした
でも、ペニーは たのしかった この日のことを
いつまでも わすれませんでした
・・・
トラが、帽子をかぶり、トレンチコートを着て、新聞を読みながら、電車にすわっています。でも、誰も気づいていません。ぺにーだけが気づいています。ペニーだけが見えている世界です。常識から見れば、ありえない出来事です。おはなしだからできることですが、作者は、子どもだけが見えている世界がある、と言っているようでもあります。
さいごの場面の走り去る地下鉄は、トラの顔のように見えます。絵は、ユーモアがあり、遊び心がある絵です。また、「ガガガガーオーッ」の場面のトラは迫力がありました。
・・・
※『ほら、トラがいる!』 フィリップ・アーダ文、デイヴィッド・メリング絵、らながわちひろ訳、BL出版 2025年 (2025/8/23)









