ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ねえさんといもうと』- ふたりの新しい関係がうまれます

いもうと思いの優しいおねえさんです。いもうとの自立したい気持ちもわかります。

わたし(妹)から見た、おねえさんの姿です

 

   ・・・

いもうとが、

歩道から飛び出ないように 気をつける ねえさん。

 

 自転車に 乗るときも、

 学校に  いくときも

 野原で  あそぶときも

 おさいほうを しているときも、

 なんでもしてくれる ねえさん。

 わたしを たいせつにしてくれる ねえさん。

     

 なんでも 知っている ねえさん。

     

 

でも、

ある日、いもうとは ひとりに なりたくなったのです。

「さあ」「ほら」「こうしなさい」「だめよ」

といろいろと言われるのに、飽きたのです。

     

いもうとは、こっそり 忍び足で・・・

家を出て、

はらっぱへ はいってゆきました。

ねえさんの呼ぶ声が 聞こえます。

いもうとは じっと していました。

ねえさんは、

だんだん、

こっちへ こっちへ。

     

 ねえさんは、野菊の中に すわり

 しくしく 泣きだしました。

    

いま、ねえさんを 慰めるひとはいません。

ねえさんは ひとりぽっちで 泣いています。

    

いもうとは、ハンカチを 取り出して、

さ、かおをふいて

ふたりは 抱きあいました。

それから、ふたりは たすけあってゆくようになりました。

急にいなくなってしまった妹を探す姉さんの不安な気持ち、つらい気持ちがわかります。 また、姉さんから、自立したい妹の心もわかります。この出来事のあと、ふたりはあたらしい姉妹の関係となることでしょう。階段をひとつあがるように、ふたりとも成長したのです。

 

繊細で思いやりあふれる、ふたりの行動を、語り手はやさしく見守っています。子どものこころを見つめたゾロトウらしい絵本です。

マーサ・アレキサンダー が描いた姉妹もうつくしいと思います。

     ・・・

※『ねえさんといもうと』シャーロット・ゾロトウ作、マーサ・アレキサンダー絵、矢川澄子訳、福音館書店 1974年  (2022/9/23)

SHARE