ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ふしぎのたね』- 種、うさぎ、子ども

3つのストーリーで構成され、同時進行しながら、最後にひとつになります。

 1. 種が成長するはなし、

 2. 川を渡れなくなった、こうさぎのはなし

 3. 枝で橋をつくる、子どものはなし

 

     ・・・
だれかが、ふしぎの種を 植えました

 お日様は ぎらぎら、空は からから。

 だから、芽はでてきません。

     

こうさぎが いました。

 小川を渡って、

 あっちにいって、

 こっちにいって、

 とうとう迷子になりました。

    

子どもが いました。

 なにかしたかったのですが、

 なんにも思いつかなかったので、

 なんにもできません。

 種はひからび、

 こうさぎは迷子、

 子どもは退屈

 

雨が 降りだしました。

 

 小川は 大きくなり、

 ふしぎの種は 育ち、

 子どもは 大よろこび。

 こうさぎは 濡れて 寒くて ひとりぼっちです。

     

 

雨は やみました。

 

 は ぐんぐん育ちます。

 子どもは いいことを思いつきました。

 小川は あふれかえり、こうさぎは 小川をわたれません。

    

 種は 芽を出し、

 子どもは 枝をあつめ、

 こうさぎは かあさんうさぎに会いたくて たまりません。

      

    

虹がかかりました。

  

 は 花になり、

 子どもは 小川に橋を つくり、

 こうさぎは 子どものつくった橋で 小川を渡ることができます。

 花は満開、こうさぎは巣の中、子どもははらぺこ。

 

  あれ、花がない。

    

子どもは かあさんに贈り物。ふしぎの種の花を贈ります。

よかったね。

種が成長するはなし、川を渡れなくなったこうさぎのはなし、枝で橋をつくる子どものはなしは、べつべつのはなしでありながら、結末で、ひとつに結びついています。3つの視点と3つのストーリーという構成に、実験的な作品を感じました。しかし、全体のストーリーは、起承転結です。

 

人(子ども)と動物(うさぎ)と植物(ふしぎのたね)は、それ自体をみれば、関係がないように見えますが、お日様や雨という自然のなかでしっかりと結びついています。わたしたちの生活、自然、人生も、同様です。3つのストーリーをかたり、最後ひとつになる構成は、こうした思想を表しているように思います。

     

また、アニタ・ローベルの絵は、生き生きとした花の生命感、自然の力、子ども・母親・こうさぎの喜びが描かれています。

         ・・・

※『ふしぎのたね』 ケビン・ヘンクス文 アニタ・ローベル絵 伊藤比呂美訳 福音館書店 2007年   (2022/11/15)

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