ふるはしかずおの絵本ブログ3

『のはらに おはなが さきはじめたら』- 優しい気持ちに包まれます 

女の子のおとうとへの思いに、ガース・ウィリアムズが美しい絵をつけました。

シャーロット・ゾロトウの絵本です。

        ・・・

ある日、

おんなのこが 

おとうとに してあげたいことを 語りかけるように言います。

 

 のはらに おはなが 

 さきはじめたら
 
たくさん つんであげるわね。

 

 ゆきがふって つもったら

 ゆきだるま つくってあげるわね

 

 あめが ふったら

 バケツにとって、

 はちのおはなに あげようね。

この後は、くりかえしです。

かぜが ふいたら

うみへ いったら
まちに いったら、

えいがを みたら

まよなかに こわいゆめみたら、

パーティーに いったときの おみやげは、

  

かえりみちには くもをみて、なにに みえたか はなしてあげる。

夢のおはなし きかせて あげるわね。

   

  

      わたしが

   おかあさんに なったら 

 あかちゃん だっこさせてあげる。

     こんなふうに。

 

はじめのところを除くと、文は女の子の独白です。

ちいさなおとうとへの愛がつまった詩です。まわりのものごとに対して、感じたこころやよろこびを、おとうとと分かち合おうとしています。ほとんどひらがなで書かれていますが、ひらがなのやさしい感じが、女の子の心と響きあっています。読者も優しい気持ちに包まれます。
      ・・・

※『のはらにおはながさきはじめたら』 シャーロット・ゾロトウ文、ガース・ウィリアムズ絵、きやまともこ訳、福武書店 1984年

 

【 追 記 】

シャーロット・ゾロトウのこの絵本には、翻訳者と出版社をかえた新しい絵本『はるになったら』(おびかゆうこ訳、徳間書店 2003年)があります。  (2022/8/31)

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