ふるはしかずおの絵本ブログ3

『とけいのあおくん』- あおくんといっしょにドキドキを体験です

子どもの心をしっかり掴む絵本だと思いました。

    ・・・

「あおくん」は、

青色の小さい目覚まし時計です。

時計屋さんの棚の上に立っています。

つまんないなあ・・・

だれか かいにきてくれないかなあ・・・

あおくんは自分のベルの音が大好きです。

     ・・・

あおくんのまわりにいるのは、

おおきな

赤い目覚まし時計

茶色い目覚まし時計です。

     ・・・

おとこのこが、やってきました。

ママ、この あおい とけいが いいよ。

パパの誕生日のプレゼントにしようとしています。

タクタク タクタク

「ほんとに しずかな とけいね」とママ。

あおくんは、おもいっきり いきを すうと

「ルリーン、ルリーン、ルリーン」とベルを鳴らしました。

「いいわね。これにしましょう」

パパは、あおくんをもらって大喜びです。

パパは、ベッドのわきに あおくんを置きました。

朝の7時に、ベルがなるように セットしました。

     ・・・

あおくんは、

タクタク タクタクと動いていました。

でも、だんだん 心配になってきました。

7時になっても、ベルが鳴らなかったらどうしょう

 

6時半になりました。

7時15分前になりました。

あおくんは胸がドキドキして、

おとが「タッタカ タッタカ」とはやくなりました。

  

さあ、7時です。

あおくんは、息を吸いこみ、

ルリーン、ルリーン、ルリーン 

パパは、開けた目を またつぶってしまいました。

もう一度 あおくんは 大きな音をだしました。

ルリーン、ルリーン、ルリーン 

パパは、あおくんのベルを止め、言いました。

「こんなに いい おとで なる とけいは はじめてだ」 

あおくんは うれしくて、むねが いっぱいになりました。

      ・・・

朝の7時にベルがなるのか、心配なあおくん。あおくんのドキドキ感がこちらまで伝わります。語り手はあおくんの心の中に入って、その心を語ります。 あおくんに寄り添う3人称限定の視点です。

読者はあおくんに同化します。緊張感を持っておはなしを聞くことでしょう。子どもの心をしっかり掴む秘密のひとつです。

  

シンプルなストリーリーですが、豊かな読書体験があります。

原作は1959年イギリスで出版されました。復刊を喜びたいと思います。

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※『とけいのあおくん』エリザベス・ロバーツ作、殿内真帆絵、灰島かり訳、福音館書店 2014年  (2021/4/13)

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