
ビーディーくんは、ぜんまい仕掛けの くまです
セイヤーくんが ねじを まいています
ふたりは よく かくれんぼ遊びを しました
ある冬の日
セ―ヤーくんが でかけたとき、
ビーディーくんは
本を見て、
くまの住むところは ほらあな だと 知りました
「おかのうえに、ぼくが すめる ほらあなが あるだろうか?」
望遠鏡で 見ると・・・
ほらあなが 見えたではありませんか!
ビーディーくんは
書置きをして、ほらあなに むかいました。
ほらあなは ビーディーくんに ぴったり
でも、
暗くて
シーンとして
ちょっぴり ひえます
ビーディーくんは、眠れませんでした
「ここで たのしく くらすには、
なにか なくちゃいけないぞ」
ビーディーくんは 家から まくらを もってきました。
「まだ なにかが たりないみたいだなあ」
ビーディーくんは
家から かいちゅうでんとうを もってきました
次は 新聞紙を もってきました
でも 新聞紙を よんでしまうと
「もしかしたら、ぼく なにか おもちゃが いるのかなあ・・・?」
そのとき
おもてで おおきな 音がしました。
「クマだ!」
そろり そろり
ビーディーくんが
おっかなびっくり 入り口のほうへ すすむと・・・
カタン、コロン!
ビーディーくんは ひっくりかえって しまいました。
あおむけに なったまま
「だれだ、そこに いるのは?」と、ききました

「ぼくだよ、セイヤーだよ!・・・
いやになっちゃうな、きみは ぼくが ねじを まかなくちゃ
だめだってこと わかんないのかい?」
「わかってるよ。
それなら セイヤーくんは だれが いなくちゃ だめなの?」
「きまっているじゃないか、きみだよ、ビーディー!」
・・・
ビーディーくんは、くまは洞穴に住んでいるということを知って、洞穴での生活を始めました。でも、何かが足りません。まくら、かいちゅうでんとう、新聞紙を家からもってきます。自分がぜんまい仕掛けのおもちゃなのに、「おもちゃが いるのかなあ」とも言っています。
でも、本当に必要なもの、大切なものは、ともだちのセイヤーくんです。ふたりは、おたがいを大切に思っているともだち同士です。ドン・フリーマンのこころあたたまる世界です。
・・・
※『くまのビーディーくん』 ドン・フリーマン作、松岡享子訳、偕成社 1976年 (2025/5/21)