ふるはしかずおの絵本ブログ3

『たろうのともだち』- 「けらいなんて、ぼく いやだ!」

たろうは、あたらしい友だちをつくり、友だちの世界をひろげます。

    

ある日、

こおろぎが 庭を おさんぽ しています

   

 

ひとりぼっちじゃ つまんないなあ

     

垣根のそばに ひよこが いました

 

 「ひよこさん こんにちは

      

ごきげんのわるい ひよこは・・・

    

 「なんだ ちびすけ、

  おまえなんか つかまえて、つっついちゃうぞ!」   

       

 「ごめんよ。たすけてよ」

 「それなら、ぼくの けらいに なるんだぞ

     

こおろぎは ひよこの けらいに なりました

     

ひよこは ねこに あいました    

 「ねこさん こんにちは」

 

ごきげんの わるい ねこは

   

 「なんだ ちびすけ、

  おまえなんか つかまえて、ひっかいちゃうぞ!」

 「ごめんよ。たすけてよ」

 「それなら、ぼくの けらいに なるんだぞ

     

ひよこは ねこの けらいに なりました

こうろぎも、もちろん、ねこの けらいです

       

   

ねこと ひよこと こおろぎは 

いぬに あいました

ねこは、いぬに「かみついちゃうぞ!」と いわれ

いぬの けらいに なりました

ひよこも こおろぎも もちろん いぬの けらいに なりました

    

  

いぬと ねこと ひよこと こおろぎは 

たろうに あいました

    

 「たろうさん こんにちは」

 「みんなで さんぽかい ぼくも なかまに いれておくれよ」

 「それなら、ぼくの けらいになる?」

 「けらいなんて、ぼくは いやだ!

 

すると、ねこ、ひよこ、こおろぎも 言いました

 「けらいなんんて ぼくも いや!」

     

たろうが 言いました

 「それなら、みんな、ともだちに なったら・・・」

   

みんな なかよし

みんな ともだち

   

たろうが あるきだすと

いぬも

ねこも

ひよこも

こおろぎも

なかよしの ともだちになって 庭を さんぽしました

   

             ・・・

たろう、いぬ、ねこ、ひよこ、こおろぎが、友だちになるハッピーエンドです。「けらい」の上下関係より、「ともだち」の関係の方がずっとよいことは、小さな子どもでも知っています。子どもは、いっしょに遊べる相手を友だちにします。こうした友だち関係がうまれたのは、たろうが「けらいなんて、ぼく いやだ!」ときっぱりと言ったことでした。ここが読んであげる時のポイントです。そして、たろうは「ともだちに なったら・・・」と、みんなに提案しています。

      

たろうは、みんなと友だちになるという新しい関係を創りだしました。そして、友だちの輪(世界)もひろげました。読者の子どもたちは、友だちと一緒に散歩をする、言いかえれば遊ぶ、よろこびを物語のなかで体験することでしょう。

      

この絵本は、「けらいになる」という力によるつながりではなく、互いを認め合う関係が世界を豊かにすることを、子どもの生活感覚のなかから自然に伝えています。

       ・・・

※『たろうのともだち』 村山桂子作、堀内誠一絵、福音館書店 1977年  (2026/8/2)

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