ふるはしかずおの絵本ブログ3

絵本の表現 -「くりかえし」の効果と意味
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絵本のくりかえしには、どのような効果と意味があるのでしょうか。

    1.  テーマの 強調

    2.  人物とその世界の   強調

    3.  読者の体験の 強調

  から 考えます。

     

 

1.テーマ の 強調

 「 各場面をわずかに 変えながら同じ叙述をくりかえすことは、  ストーリーの 構成の上に意義をもってくる。 それは中心になる アイディア -城が長い眠りにとらわれるというテーマ - を強調し、それに一貫性を もたせる 。」

        リリアン・スミス、 石井桃子 訳  『 児童文学論 』  岩波書店

   

くりかえしによって、子どもの意識の なかにうまれたイメージと意味をひとつ の方向にむけて強調します。意味づけられたイメージが、ゆたかに深められて いきます。そして、テーマを強調します。

  

 

2.人物 ( こころ と すがた ) と  その 世界の  強調

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『スイミー』のくりかえしは、スイミーという人物 の 強調です。 

 かんがえる スイミー     

 行動する スイミー、

 教える スイミー、

 リーダーの スイミーへと  

 スイミーの人物像はゆたかにふかくなります。

 

『 ぼくにげちゃうよ 』では、おやこの会話がくりかえされます。それは、子どもを愛するかあさんうさぎの強調です。くりかえしによって、母親の愛をうきぼりにします。

     

 

3.読者の 体験の 強調

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 読み手または聞き手の側に、高まってゆく興味と期待をもたせる 

        リリアン・スミス 『 児童文学論 』

   

『 おおきな かぶ 』では、おじいさん、おばあさん、まご、いぬ、ねこ、ねずみが「うんとこしょ どっこいしょ」。

聞いている子どもまで、「うんとこしょ どっこいしょ」。

まだ、ぬけない !

       ・・・

『3びきの くま』では、

「 だれだ 」

「 だれです 」

「 だれだい ・・・」

くまたちが、おんなのこが、ねているべっどに近づくと、子どもたちは大騒ぎ。スリル が高まります。

 

      *   *   *   *   *   * 

 

絵本は、人物やものごとの本質・真実をくりかえしで表現 します。

        

それは、また子どもの認識のあり方を考慮しての方法です。人物のおなじような言動、おなじ出来事のくりかえしによって、ものごと(人物)の本質がわかります。子どもにとって、わかりやすいパターンです。絵本のくりかえし は、たいせつなことを認識し・表現する方法なのです。      

      ・・・

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