ふるはしかずおの絵本ブログ3

『たけ  もうそうだけの おやこ』- 竹の一生を力づよく描く 

竹を家族にみたて、おやだけとたけのこの成長を語ります

  

     

土がひび割れ、

たけのこたちが 地面の上に 出ようとしています。

   

たけは、

伸び盛りのときは、

1日に 1メートル以上も 伸びます

60日くらいで、竹になります。

背の高さは、15~20メートル。

このあとは、背はほとんど伸びず、幹もふとくなりません。

    

    

今年、うまれたたけは、

幹のねもとに 皮が のこっています。

幹は、白い ろうのこなで おおわれています。

ろうは、水をはじいて 弱い幹を 守っています。

 

   

地下茎でつながった たけのおやこ、

たけの家族は 力をあわせて 地下茎に 栄養をおくります。

地面の下は、網の目のように 地下茎が はりめぐらされています。

  

たけは、14、15年たつと 枯れていきます。

でも、

子どもたちが 生まれて

たけの家族は いつまでも 生き続けていくのです。

    

花は めったに 咲きません。

100年に一度とも 言われていて、

なかなか 見ることができません、

 

            ・・・

竹の一生と力強い生態をリアリティリある絵で表現しています。また、「たけのおやこ」「こどもたちを そだてる」「まもります」「つかれた はっぱ」など、竹を擬人化して表現しているところも、生きている竹というイメージを強めます。竹のいのちの物語になっています。

     

春にたけのこが出てくるときに、地下茎を切り取り、しみでる水を なめると、「おちちのような あまい あじと においがします」。はじめて知ったことでした。

     

地味な絵本ですので、図書館で子どもが手に取ることはないような気がしました。そこに大人の出番があります。学校などで、子どもに出会わせてほしい絵本です。

      

         ・・・

※『たけ  もうそうだけの おやこ』 甲斐信枝作、福音館書店 2004年(初版1984年)  (2024/5/7)

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