ふるはしかずおの絵本ブログ3

『きんのさかな』-見えない心が見える世界

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ロシアの作家、プーシキンの 民話的なおはなし、

『 きんのさかな 』です。

      ・・・

あるとき、

貧しいじいさんは、 きらきらひかる 金のさかなを 釣り上げます。

「 おじいさん わたしを うみに はなしてください。  おれいは なんでも いたします。 ほしいものなら なんでも さしあげます 」 と、 金のさかなは、 助けを求めました。

じいさんは、 言います。

 「 おれいはなんどは なんにも いらねえ、 あおい うみで おもいっきり およぐが いいよ」。

しかし、 ばあさんは、

「 たらいでも もらって くれば よかったのじゃ 」 と、 じいさんを なじりました。

      ・・・

じいさんは、

青い海にもどって、

「 たらいがほしい 」 と、 金のさかなに頼みます。

「 しんぱいしないでおじいさん。  あたらしい たらいを あげますわ」。

「 たらい 」 が実現すると、

ばあさんの欲は、 ますます  エスカレート。

今度は「 いえをたててくれとたのんでみろ 」と、 じいさんに  言いつけます。

 海は、 どんより  濁っています。

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その家も  実現すると、

こんどは、「 貴族のおくさま 」 になりたいと  言いだします。

海は、  ざんぶざんぶ、  騒いでいます。

「 女王になりたい 」 と いった欲望も、 実現しますが、

もう、 青い海は、 まっくろ。

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そして、  最後に、

ばあさんが、  金のさかなを  召使にして、

「 海の女王 」 になりたいと  言ったとき、

海は、 嵐で、 まっくろです。

さかなは、 もうなにも  言いませんでした。

深い海の底に  消えてしまいました。

じいさんは、  しょんぼり、 ばあさんのところに  帰ります。

帰ってみますと、 以前のどろかべごやと  壊れたたらいが  あるだけでした。

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人間の欲の深さが、 海の色や   海の様子によって、  象徴的に  表現されています。

心のなかの  欲望は、 見えませんが、

見えない心が、

ばあさんの  言動や海の  すがたで、

はっきりと  見えるように  なっています。

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フランスの文学史家、 ポール・アザールは、  よい本とはなにかと聞かれて、 こう答えていました。

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「 特に わたしが愛する本はというと、 それは、 あらゆる認識のうちで 最もむずかしいが、 また 最も必要な認識、 つまり 人間の心情についての 認識を 与える本である。」

『 本・子ども・大人 』  ポール・アザール、 矢崎 源九郎、 横山 正矢訳、 紀伊國屋書店

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※『 きんのさかな 』 ヴェー・コナシェビチ画、 宮川やすえ訳、 ほるぷ出版  1979年  (2013/8/9)

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