
『沈黙の春』(1962年)のレイチェル・カーソン(1907-1964)の伝記絵本です。
彼女は、環境保護運動に 大きな影響を与えました。
チアーリリー! ビールビール クー!クー!
コンコンコン ホーホー
チチョッ
チアーチアー・・・
夜明けとともに
鳥たちの コーラスが 始まりました
レイチェルは、どの鳥の声も、ぜんぶ 聞きたくてたまりません
春
レイチェルが いちばん好きな季節
カエルの歌、虫たちの夜のメロディー、コウモリの子守歌が きこえます
夏
暑い日が つづくと
鳴き声は ますます にぎやかに なります
秋
渡り鳥が よびあう声が します
冬
雪の上で、地面の下でくらす どうぶつたち
レイチェルは、どの季節も
よく見て
耳をすまし
そして おはなしを 書きました
レイチェルは、ひな鳥のように すくすく そだちました
大学にすすみ 生物の授業を うけました
顕微鏡を のぞくと
一滴の水の中にも ちいさな世界が ひろがっていることに
目を 奪われました
その後
レイチェルは、海洋生物学者になり
海の本を 書くチャンスを つかみ、
3冊の本を 書きました
海のなかの世界を あざやかに 想像することができた 読者
レイチェルは、有名な作家に なりました
おかしなことが おきていました
自然が声を失いはじめたのです
彼女は 農薬が安全でないことを つきとめ
『沈黙の春』という本を 書きました

レイチェルは、議会で 説明しました
人間の行いが、自然環境と、そこでともにくらす
生きものたちの生活をかえてしまうことがあるのだと
彼女は
自然を たいせつにしようとする、人びとの心を育てました
とくに大きな害をもたらす科学薬品は、使用が禁止されました
わたしたち人間は、
生命という ひとつのおおきな 流れのなかにいます
レイチェルは・カーソン
・・・
小さなレイチェルが、生きものたちの音楽に耳を澄まし、自然の中に、たくさんのおどろきや不思議を見つけて、豊かな感性を育んでいく様子が描かれています。子ども時代が、のちのレイチェル・カーソンをつくったことが分かります。絵本はそこを強調しています。
『沈黙の春』を書いたレイチェル。自然環境とわたしたちの生活がどう結びついているかを問い直し、自然の声なき声を聞くことのたいせつさをうったえました。彼女の調査や勇気ある行動、また『沈黙の春』は、人びとの環境への意識を高め、考え方を大きく変えました。巻末には「作者のことば」「監修者のことば」も添えられていて、参考になります。
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※『レイチェル・カーソン物語 なぜ鳥は、なかなくなったの?』 ステファニー・ロス・シソン文・絵、上遠恵子監修、おおつかのりこ訳、西村書店 2022年 (2025/10/18)









