『ぼく、だんごむし』のタイトルが示すように、だんごむしがぼくになって語る一人称視点です。だんごむしの声を聞いてみましょう。
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ぼくは、
植木鉢のしたが住処なんだ。
ぼくたちの食べ物は、枯れた植物、死んだ虫、食べもののかす。
ペットフード、新聞紙、ダンボールも食べるよ。
「自然のそうじや」です。
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食べると、すぐにうんちをするんだよ。
四角い うんちをね。
それから、
育つのに必要なコンクリートや石も食べるよ。
( そうなんだ。)
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ぼくたちの敵は、アリ。
かたい殻をまるめて、身を守るんだ。
だけど、かえる、とかげ、鳥には、この方法はつかえない。ひとのみされてしまうから。
( きびしいんだね。)
ぼくたちは、なんかいも脱皮して、おおきくなる。
脱皮した殻はかならず食べる。
栄養があるからね。
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ぼくたちは、おとなになると、結婚して、たまごを産む。おかあさんは、おなかの下の薄いまくに たまごを産んでたいせつにそだてるよ。
あかちゃんは、ごま粒みたい。
でも、おかあさんにそっくり。
それから、ぼくたちは、昆虫ではなくて、かにやえびの仲間なんだよ。
( へえ、はじめて知った! )
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寒い冬は冬眠するんだ。
ぼくたちのこと、わかってくれた。
( よく、わかりました。)
ぼくたちのこと、飼ってみない? 飼うのは簡単だよ。でも、秋の終わりになったら、もとのところに返してね。冬は、やっぱり、仲間といっしょにすごしたいから。
子どもたちに人気のだんごむし。だんごむしの生態がよく分かりました。「こんなことまでは知らなかった」ことがいっぱいでした。「ぼくたちは のはらや、はやしより、にんげんが くらしているところのほうが すみやすいんだ」と言っていましたが、その理由も分かりました。脱皮に2日かけ、最初の日に後ろの皮をぬぎ、つぎの日に前の皮をぬぐことも知りました。
ただしい、わりやすい、おもしろい、かがくの絵本です。
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※『ぼく、だんごむし』 得田之久作、たかはしきよし絵、福音館書店
2005年 (2022/3/26)