
エストニアの昔話です。
おくさんの鼻にソーセージがくっつく悲喜劇です。
むかし
怠け者で
貧乏
いつも おなかを すかせて
喧嘩ばかり している
だんなさんと おくさんが いました
ある日
ふたりが 大喧嘩をはじめたとき
ひとりの おじいさんが あらわれ
こんなことを いいました
「もっと たのしく くらせるように
ちからを かしてやろう
ねがいごとを みっつ かんがえなさい
みっかめに かなえて あげよう」
ふたりは 願いごとを かんがえました
お乳を しぼると あま―い クリームがでてくる
村で いちばん きれいな ウシ
魚が どんどん つれる 釣り竿
いろんな 色の たまごを 産む めんどり
はねのある ブタ
魔法の 笛
やさいと くだものが いちどになる おおきな木・・・
3日目の 朝
おくさんが スープを つくったとき
「おいしい ソーセージが あればいいのに・・・」
と、いうと
どすん
おおきな おおきな ソーセージが おちてきました
「ソーセージが すきなら、
おまえの はなにでも くっつけておけ!」
すると、
ソーセージは おくさんの鼻に くっついてしまいました
「ねがいごとは あと ひとつ
どうすりゃ いいんだ」
「ほんとうに どうしたら いいの」
おくさんが 首をふると
ソーセージが、だんなさんに あたり
だんなさんを 床に たたきつけて しまいました
「いたいじゃないか!
こんな ソーセージ、きえてしまえ!」
ソーセージは 消え
おくさんの 鼻は もとどおりに なりました
その後は・・・
ふたりは 喧嘩を しなくなりました
まえより すこし、はたらくようになり
なかよく くらしました
・・・
悲劇的であり、どうじに滑稽で愉快なおはなしです。
怠け者で喧嘩ばかりしている夫婦に焦点が当たっています。
ソーセージがおくさんの鼻にくっつき、最後の願いで、きえてなくなりましたが、夫婦が、すこし働くようになり、仲良く暮らすことになるきっかけになりました。ソーセージの縁は、夫婦の仲をもう一度「くっつけ」ることになりました。ソーセージが鼻につく深刻さより、夫婦の仲、事態の滑稽さが目立ちます。そして、ハッピーエンドです。
でも、ソーセージが鼻につくなんて、やはり深刻な事態です。願いが実現することで、思わぬ災いを招いてしまうという真実です。私たちの生活にありそうことのように思います。
・・・
※『みっつのねがい』 ビレット・ラウド再話・絵、まえざわあきえ訳、福音館書店 2012年
【追記】
同じような話に、『みっつのねがいごと』(マーゴット・ツェマック文・絵、小風さち訳 岩波書店 2003年)があります。この絵本の夫婦は、仲睦ましい樵の夫婦です。子鬼を助けたことで、子鬼から「三つの願い」をあたえられます。ソーセージが旦那さんの鼻につくのを除けば、同じような結末ですが、仲睦ましい夫婦だけに、『みっつのねがい』よりも、ソーセージが鼻につくことの悲劇的な感じが勝ります。「禍福はあざなえる縄の如し」。 (2026/6/3)









