おつきさまは、ひるま、ねむっています。
おつきさまは、よる　なにを　しているのでしょうか ？
　（ ほんとうに！ ）
いったい、何をしているのでしょうか？
　　　　　・・・
おつきさま は、
夜、
たくさんの　おほしさまを　描き、
野原の　雲と霧を　追いはらい、
街のうるさい音を　おいだします。
夜のくろいカーテンを　ひき、
おおきな眠りの時間を　招きます。

たのしい夢を　ひろげ
悪い夢を、とじこめます。
そして、ふしぎなことで いっぱいにします。

朝になると、
おひさまが　かがやくように　薔薇色の水を　池にそぞぎます。
おつきさまは、にっこり。
　　　　　・・・
もうすぐおひさまが　のぼります。
おうちへ帰る　おつきさま。
　おやすみなさい！
　　　　　・・・
夜のお月さまは　いそがしい。
星を えがき、
雲や霧を 追いはらい、
音を 消し、
眠りと夢を さそいます。
そして、朝（ おひさま ）をむかえる　お月さまです。

絵本のお月さまは、はじめは 三日月だったのに、満月になっていきます。顔が変わってきます。裏表紙を見てみましょう。雨の降るなか、帽子をかぶって　仕事に出かけようとします。働きもので健気なお月さまです。わたしたちが 眠っている間に、お月さまは、これからもきっとあなたを見守ってくれることでしよう。
詩的な文章、ファンタジックな絵。訳文も韻をいかしているように思います。それが眠りを誘うゆったりとした絵本の時間をつくります。安心しておやすみのメッセージがあります。1999年のボローニア絵本賞 ( ラガッツィ賞 ) を受賞した絵本です。アンネ・エルボーの絵本の紹介は『 すきまのじかん 』に続いて２作目です。
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※『 おつきさまは よる なにをしているの？ 』　アンネ・エルボー作、木本 栄 訳　ひくまの出版　2000年
【 追 記 】
おやすみなさいの絵本のおすすめ。
・『 おやすみなさいのほん 』　マーガレット・ワイズ・ブラウン文、ジャン・シャロー絵、石井桃子訳　福音館書店　1962年
・『 おひめさまは ねむりたくないけれど 』　メアリー・ルージュ作、パメラ・ザガレンスキー絵、浜崎絵梨訳　そうえん社　2015年
　（2018/4/1）