ふるはしかずおの絵本ブログ3

『イソップものがたり ライオンとねずみ』-読者がつくるストーリー

1
有名な イソップ物語です。
     ・・・
ライオンが、 
ねずみを 捕まえました。
ねずみは、逃がしてくれるように頼みます。
ご恩は お返ししますと。
ライオンは、ねずみを 放してやりました。
     ・・・
そのあと、ライオンは、人間の罠に かかってしまいます。
ライオンの 叫び声を聞いた ねずみは、網をかみきり、ライオンを助けたという おはなしです。
情けは人の為ならず。
2
おはなしの筋は、このとおりですが、この文章はありません。絵本のことばは、オノマトペだけです。そこに、工夫があります。
     ・・・
 ホー、ホー、ホホー
 キキーッ
 ガルルル、
 チュウ チュッチュ  チュチュウ チュウ ……
 ガオーッ ワオワオ ウワーオ ガーオ ガオーツ
 ザリザリ ザリザリ ・・・
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絵が、物語を語っています。そして、ねずみとライオンの生きる世界を リアルに描きます。読者( 読み手 )が、ここからおはなしを紬だすという しかけです。読者が参加することで、絵本の世界がさらに生き生きとしてきます。読者それぞれの おはなしが、絵のなかに潜んでいるとも言えるでしょう。そのため、絵は、細部までしっかりと描いています。絵を見るだけでも たのしい絵本です。また、よく見ると、かれらの家族も描かれていて、おはなしに深みをあたえています。(下図) 2010年のコルデコット賞受賞作品です。
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※『 イソップものがたり ライオンとねずみ 』 ジェリー・ピンクニー作・絵  さくま ゆみこ訳 光村教育図書  2010年 (2016/6/22)

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