ふるはしかずおの絵本ブログ3

『しびと』- 「遠野では、死人が帰ってくることがある」

しびと(死人)が、この世にあらわれる、怪奇な世界

『えほん遠野物語』です。

ふたつのはなしが収められていますが、第二話を紹介します。

    

  

六日町には こんな話がある

     

父と娘が ふたり暮らしを している 家があった

あるとき、父親が 死んでしまった

娘は、葬式をだし、供養して 埋めた

   

葬式の翌日

死んだ父が 帰ってきた

父親は 娘に 言った

     

    

 「一緒に行こう、一緒に行こう

     

 

娘は、驚き、怖れ、激しく拒んだ

  

     

父親は

つぎの日も

そのつぎの日も きた

   

むすめは 病気になってしまった

   

村の若い者が、娘を護ることにした

刀をふりまわして 追いかえした

   

  

ひと月ほどすると 死人は こなくなった

    

 こんなものは、もう幽霊なんかじゃない

   

    

 その昔、遠野では

 死人が帰ってくることがあったのだ

    

           ・・・

第一話は、死んだお婆さんが通夜にもどってきたという話。大広間で寝ていたひとりが叫んだ。「おばあさんがきた!」。大騒ぎになった。その間にお婆さんはいなくなってしまったという話。

     

こんなものは、もう幽霊なんかじゃない」。死人(しびと)そのものの恐怖の生々しい話です。

     

阿部海太さんは、身の毛のよだつ怪奇な世界を、青、赤、黒を基調色にして表現しています。しびとの恐ろしい姿、また生きている人物の恐怖にひきつる顔もこわい。

            ・・・

※『しびと』 京極夏彦作、阿部海太絵、柳田國男原作 汐文社 2021年  (2025/8/23)

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