人生について 哲学する ?
『 3つの なぞ 』は、そのような絵本です。
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ぼくは、いい人間になりたいんだ。
ニコライ( 表紙の 赤い凧をもつ少年 )は、悩んでいます。
でも、なにをしたら よいのでしょう ?
謎が 3つ。
その謎とは ?
いつが いちばん だいじなとき だろう ?
だれが いちばん だいじなひと だろう ?
なにをすることが いちばん だいじなんだろう?
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友人のサギ、サル、イヌは、答えてくれますが、
その答えは、正しいとは思えませんでした。
そうだ ! カメのおじいさんのレオに聞いてみよう。
レオは、山で、畑を耕していました。
レオは、ニコライのはなしを じっと聞き、
微笑み、
また、仕事をつづけました。
とうとう、ニコライは言います。
おつかれ でしょう。
わたくしに お手伝い させてください。
ありがとうよ。
真っ黒な 雲から、
はげしい雨と風が 吹きつけてきます。
たすけて !
ニコライは、けがをしていたパンダを 助け、パンダの子どもを救います。
つぎの朝、レオは言います。
おまえは、3つの謎に すでに答えを だしていると。
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手伝いをしたことが
パンダのおかあさんの声を 聞くことになった。
(手伝ってくれなかったら、聞かないでしまった。)
そこでじゃ、
いちばん大事な時は、おまえさんが、畑仕事をしてくれた 時。
いちばん大事な人とは、この わし。
なにをすることが、いちばん大事かは、わしを 手伝ってくれたこと。
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パンダの親子を 助けたときは、
そのときが、いちばん大事な 時。
パンダの親子が、いちばん大事な 人。
そして、
親子を 助けてやることが、するべき 大事なこと。
いま、
そばにいる人、
その人のために してあげることが
3つの謎の 答えなのじゃと、レオは語るのです。
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※『 3つの なぞ 』 ジョン・J・ミュース作・絵 三木 卓訳 フレーベル館 2012年
【 追 記 】
ジョン・J・ミュースの絵本の紹介は、『パンダのシズカくん』『しあわせの石のスープ』に続き、3冊目になりました。
訳者の三木卓さんは、あとがきのなかで、この絵本について トルストイの『三つの疑問』の形をかりた、子どものための あたらしい物語だと評価されています。背景に、ロシアの文豪トルストイがいます。 主人公のニコライの名前は、トルストイの兄さんの名前で、作者・ミュースさんの息子の名前でもあるそうです。また、賢者である亀は レフ。レフと呼ばれているのは、レフ・トルストイになぞらえているからです。ミュースのこの絵本の根本には、すべてのものはお互いに関係しあって存在しているという因縁の思想があるように見えます。(2016/4/5)