キング牧師の生涯を えがいた絵本です。
それにしても、この表紙。
存在感、迫力があります。
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「 白人専用 」
子どものころ、
これを見るたびに 暗い気持ちになる
マーティン( 後の キング牧師 )。
でも
聖書や、
教会で、神をたたえる言葉にであい、
心をふるいたたせる マーティンです。
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かれは、
とうさんと同じ牧師の道へ。
そして、
ガンジーの教え、
非暴力、不服従を学び、
「 敵をも、愛しましょう 」 と語るマーティン。
にくしみは
にくしみを ひきおこします。
愛だけが にくしみを
けしさることが できるのです
1955年。
アラバマ州、 モントゴメリーの町。
ローザの逮捕からおこる バスボイコット運動。
マーティンは、 かれらと ともに
あるき、 かたり、 うたい、 いのった。
おどし、
暴力に屈せず
進む市民の行進。
自由を求める行進にも 先頭にたちます。
( 1963年の ワシントン 大行進です。 )
マーティンは、希望を語り
つねに行動の中心に。
暴力ではなく、
言葉で戦いながら。
わたしには 夢が あるのです。
あのアラバマにおいてさえ いつの日か きっと、
おさない黒人の少年 少女たちが
おさない白人の少年 少女たちと、
兄弟姉妹として 手をとりあい、
力をあわせる日が くるだろうと。
1964年。
キング牧師に、ノーベル平和賞が 授与されました( 35歳 )。
そして、
1968年 4月 4日、
かれは、
テネシー州、 メンフィスで撃たれ なくなりました ( 39歳 )。
マーティンのことばは、 死なず、
いまも わたしたちを はげましつづける。
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コリアーの絵がすばらしい。コラージュは、さまざまな要素がむすびつき、画面のなかで一体になります。彼のコラージュには、さまざまな人種・民族の協同と平和という願いが 込められているようです。
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※『 キング牧師の 力づよい ことば 』 ドリーン・ラパポート作、 ブライアン・コリアー絵、 もりうちすみこ訳、 国土社 2002年
2002年の コルデコット賞 オナー賞受賞作品。
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【 追 記 】
画家のブライアン・コリアーは、暗喩とコラージュについて、「あとがき」で次のように書いています。
「 キング牧師の生涯を思いえがくとき、くり返し立ちあらわれるイメージは、教会のステンドグラスだ。わたしにとって、ステンドグラスは、いろいろな意味で暗喩にみちている。 ・・・ その さまざまな色彩は、まるで この国にくらす さまざまな民族だ。 またステンドグラスは、イエスの生涯を絵物語でつたえる。 」
「 最後のページの4本のろうそくは、バーミングハムの教会に 投げこまれた爆弾によって亡くなった4人の少女をあらわしている。」( 暗喩 )
「 物語としての 意味と 緊張感をうしなうことなく、 読者が 自分自身の経験を そこに重ね合わせられるように、 写実をはなれた表現をこころみた。 コラージュは、そのような表現に最適な画法だ。 たがいに無関係の たくさんのちがったものは、 張り合わされ一体となり、 見る者の心に強くうったえるのである。 」
(2016/1/28)