ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ことりの ゆうびんやさん』- ことりを見守るぼくと家族 

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セキレイ( 鶺鴒 )が、郵便受けに巣をつくる おはなし。
ニコライ・スライコフの短編「セキレイの手紙」が原作です。
     ・・・
ぼくの家には、
木でできた、ふるい郵便受けがあります。
ある日、きつつきが、こつ こつ こつ、まるい穴をあけました。
こんどは、せきれい が 飛んできました。
せなかが 黒い オスと
灰色の メス。
郵便受けのなかを のぞきます。
せきれいたちは、
いろんなものをくわえてきて、郵便受けにはこびます。
ゆうびんやさんみたい!
 ( 巣作りです。)
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郵便屋さんが てがみを入れようとすると、
せきれいは、びっくり。
おおさわぎ。
「ちゅっ ちゅっ!」
そこで、
せきれいを びっくりさせないために、
おかあさんが、てがみを 直接受けとります。
     ・・・
ある日、かわいい声が きこえます。
「ぴい ぴい」。
えさをはこぶ せきれいは、とても いそがしそう。
「ぴい ぴい ぴい」
ときどき、ひなどりが 顔をだします。
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ある あたたかな日、
せきれいの家族は、もういません。
河原に 引っ越していったようです。
郵便受けのなかには、
かれくさ
かみのけ
こけ
かみきれが あります。
せきれいの ゆうびんやさんは、こんなに たくさんの ものを はこんできて、すを つくったんだ。 ・・・
せきれいの ゆうびんやさんが、またくるといいなあ、と ぼくは思います。
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郵便受けが、いつのまにか、せきれいの巣にかわっていきました。子育てするせきれいを温かく見守るぼくと家族がいます。特別なことは起こりませんが、ぼくの気持ちに共感し、やさしい気持ちになれる絵本です。ふしぎ。絵は、はたこうしろう(秦 好史郎)さん。鮮やかな色と明確な構成が魅力的です。おはなしも絵も、曇りなく、くっきりとした印象です。
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※『ことりのゆうびんやさん』 ニコライ・スラトコフ原作 松谷さやか文 はたこうしろう絵 福音館書店 2009年
【 追 記 】
原作の「セキレイの手紙」は、『北の森の十二か月』(ニコライ・スライコフ文、ニキータ・チャルーシン絵、松谷さやか訳、福音館書店)の中にあります。  (2018/6/17)

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