ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 まほうの なべ 』- オートミールがあふれだす

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むかし むかし、
とても貧乏な おんなの子と おかあさんがいました。
ある寒い朝、
おんなの子は、
森へ 食べ物を探しに 出かけますが、
なにひとつ 見つかりません。
・・・
そこへ、
マントを はおり、
まがった杖をついた
おばあさんが あらわれて いいます。
「これは、まほうのなべじゃ。火にかけて、こう となえるとよい。」
 にえろ、ちいさななべよ にえろ!
オートミールを 食べたら、こう唱えなさい。
とまれ、ちいさななべよ とまれ!

おんなの子 は、
森を ころがるようにして、家に帰り、
鍋を 火にかけます。
「にえろ ちいさななべよ にえろ!」
と 唱えると、オートミールが 煮え、
「とまれ、ちいさななべよ とまれ!」
と 唱えると、
ぴたりと とまります。
・・・
しかし、
ある日、
おかあさん は、とめる呪文を 忘れてしまいました。
(やっぱり!)
その結果、
オートミールは 鍋から こぼれ、
ゆかに いっぱいになり、
村のとおりを 流れだし、
村は オートミールで いっぱいです。
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慌てふためく おかあさん。
「おしまい、ちいさいなべよ おしまい !」
もういいよ、ちいさいなべよ もういいよ !
「もうけっこう、ちいさいなべよ もうけっこう !」
やめとくれ、ちいさいなべや やめとくれ !
・・・
さて、その結末は?
おんなの子が「とまれ、ちいさななべよ とまれ!」
と 唱えて、まほうのなべは ぴたりと とまり、
村人みんなが 幸せになるという 結末。
めでたし、めでたし。
・・・
絵本の後半、オートミールが流れでるところに動きがあります。ハラハラドキドキの場面。また、笑えるシーンの連続です。さいごは村のひとたちが、うれしそうにオートミールを食べています。( 下の絵 )
ポール・ガルトンは、中世的な世界を舞台にして、おはなしの雰囲気をいかした絵を描いています。

おはなしに、ペロー風の 教訓 をつけておきます。
「魔法のなべは、村人たちの貴重な財産。これから飢えることはないだろう。しかし、魔法というものは、ときに不幸をもたらすもの。使い方を誤るな。」
・・・
※『まほうのなべ』 ポール・ガルドン再話・絵 晴海耕平訳 童話館出版 1998年  (2018/2/28)

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