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山に生きるものは、山に見守られている。
山に生きる多くの生きものが登場します。絵を見る楽しさがあります。
夜明け。
早起きの鳥たちが、飛び立つ。
シロイワヤギが、蹄の音を ひびかせあるきます。
ナキウサギが、 朝ご飯を たべはじめます。
朝靄のなか、
ヘラジカの親子が、朝ご飯を さがします。
鳥たちが、さえずります。
柔らかな 日ざしのなか、
グズリが 獲物を探し、
シカが 木立で様子を うかがう。
ビーバーが ダムを つくります。
黄昏どき、
ハイイログマは、水遊びをします。
夕日が、川面に きらめく。
沈みゆく太陽が 山を 染め上げ、
マツヨイグサが、花を開き、
生きものたちは、寝床へ もどります。
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夜のとばりが おりると、
ボブキャットが、からだを 伸ばします。
夜中に
動きまわる 生きものたち。
ヤマネ、アライグマ、アメリカテン、コウモリ、キツネ、スカンク。
ネズミは、捕まらないように 逃げていきます。
クロクマの子どもたちが 遊びます。
ホタルの光が ゆらめきます。
ムササビの出番です。ゆうゆうと 夜空を飛びます。
真夜中、
アメリカワシミミズクが、高い木から飛びたち、えものに襲いかかります。
オオカミが 夜のみまわりを 続けます。
ピュ-マが 岩にすわり、朝をまっています。
夜が朝になるように、世界も変わっていく。
永遠につづくこともあれば、進化するものもある。
かわらないものは、生きること。
山は知っている・・・
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山の中に生きている、生きものたちの1日が詩情豊かに語られます。ひんやりした空気感、ぬくもり、黄昏どきのひかり、夜の闇のふかさ、冷たさといった、視覚と肌の感覚が刺激されます。この絵本のなかに人間は出てきません。しかし、生きものたちを見ているのは、読者であるわたしたち人間です。わたしたちも、かれらと同じ時の中で、自然の中で生きていることに 気づかされます。「かわらないものは、生きること」です。大人にすすめる絵本です。
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※『山はしっている』リビー・ウォルデン作、リチャード・ジョーンズ絵、横山和江訳、鈴木出版 2020年 (2023/1/5)