ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 ベンの トランペット 』- クール !

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黒人少年ベンと トランペッターの ふれあいを 描きます。
ジャズが 聞こえてくるような 絵本です。
・・・
夜、
ベンは、
ジグザグ・ジャズ・クラブから 聞こえる ジャズに 耳をすまします
そして、いっょに トランペットを 吹きます。
でも、
ベンは トランペットを もっていません。
吹く 真似を しているのです。
・・・
貧しい 黒人の少年、ベン。
学校の 帰りに、ジグザグ・ジャズ・クラブに 寄り、
ミュージシャンの練習を みています。
ピアニスト。
サキソフォニスト。
トロンボニスト。
ドラマー。
ベンは なかでも トランペッターが とりわけ いかしていると おもう
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ある日、
戸口に すわっている ベンに、
いかす ラッパじゃねえか。」
ジグザグ・ジャズ・クラブの トランペッターが 声をかけます。
にっこりする ベン。
・・・
別の日、
トランペットを 吹くまねをする ベンに、
みんなが、からかいます。
「おい おまえ なにやってんだ?」「なに やってるつもりだよう?」
「ペット ふいてんのさ」
「ばっかじゃねえか! ペットなんか もってねえくせに」
みんな げらげら 笑います。
ベンは、とぼとぼと うちへ 帰ります。

ある日、
ジグザグ・ジャズ・クラブを 見つめる ベンに、
トランペッターが、近づいて きます。
「ラッパは どこに あるんだい?」
「もってないよ」
トランペッターは、ベンの肩に 腕を まわして いいます。
「クラブへ こいよ。」
いっしょに やってみようじゃねえか。」

モノクロの絵が ジャズの世界に ぴったりです。私のジャズ体験は ビックバンド・ジャズで止まったままですが、絵本の中から、モダンジャズ、現代ジャズが聞こえてくるようです。ベンのように、ひとつのことに夢中になれるのは、素晴らしいこと。そして、ベンを励まし「いっしょに やってみようじゃねえか」と声をかける トランペッター。ふたりの姿から、教育のことを 考えさせられました。
・・・
ところで、この絵本の場合、主人公は、一体 だれなのでしょうか?
ベンでしょうか? それとも トランペッターなのでしょうか?
主人公を どちらかに 客観的に 決めることはできないように 思います。
それは、読者が 決めます。 主人公とは、私にとっての主人公です。
( Wow, this picture book is really cool. )
絵も人物の言動も、クールです。
・・・
※『 ベンの トランペット 』 R.イザドラ作・絵、谷川俊太郎訳、あかね書房 1981年  (2017/10/08)

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