![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2021/03/とけい-2.jpg)
子どもの心をしっかり掴む絵本だと思いました。
・・・
「あおくん」は、
青色の小さい目覚まし時計です。
時計屋さんの棚の上に立っています。
つまんないなあ・・・
だれか かいにきてくれないかなあ・・・
あおくんは自分のベルの音が大好きです。
・・・
あおくんのまわりにいるのは、
おおきな
赤い目覚まし時計
茶色い目覚まし時計です。
・・・
おとこのこが、やってきました。
「ママ、この あおい とけいが いいよ。」
パパの誕生日のプレゼントにしようとしています。
タクタク タクタク
「ほんとに しずかな とけいね」とママ。
あおくんは、おもいっきり いきを すうと
「ルリーン、ルリーン、ルリーン」とベルを鳴らしました。
「いいわね。これにしましょう」
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2021/03/20210308_150310-2-1024x362.jpg)
パパは、あおくんをもらって大喜びです。
パパは、ベッドのわきに あおくんを置きました。
朝の7時に、ベルがなるように セットしました。
・・・
あおくんは、
タクタク タクタクと動いていました。
でも、だんだん 心配になってきました。
7時になっても、ベルが鳴らなかったらどうしょう。
6時半になりました。
7時15分前になりました。
あおくんは胸がドキドキして、
おとが「タッタカ タッタカ」とはやくなりました。
さあ、7時です。
あおくんは、息を吸いこみ、
ルリーン、ルリーン、ルリーン
パパは、開けた目を またつぶってしまいました。
もう一度 あおくんは 大きな音をだしました。
ルリーン、ルリーン、ルリーン
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2021/03/20210308_150319-2-1024x371.jpg)
パパは、あおくんのベルを止め、言いました。
「こんなに いい おとで なる とけいは はじめてだ」
あおくんは うれしくて、むねが いっぱいになりました。
・・・
朝の7時にベルがなるのか、心配なあおくん。あおくんのドキドキ感がこちらまで伝わります。語り手はあおくんの心の中に入って、その心を語ります。 あおくんに寄り添う3人称限定の視点です。
読者はあおくんに同化します。緊張感を持っておはなしを聞くことでしょう。子どもの心をしっかり掴む秘密のひとつです。
シンプルなストリーリーですが、豊かな読書体験があります。
原作は1959年イギリスで出版されました。復刊を喜びたいと思います。
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※『とけいのあおくん』エリザベス・ロバーツ作、殿内真帆絵、灰島かり訳、福音館書店 2014年 (2021/4/13)