平山和子さんの素敵な絵本、『くだもの』 (福音館書店 1981年)です。
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すいか さあ どうぞ
もも さあ どうぞ
ぶどう さあ どうぞ
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ばなな さあ どうぞ
ばななのかわ むけるかな?
じょうずに むけたね。
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絵本を 読みながら、
果物を 食べるまねを している子どもも、 いることと思います。
さて、 絵本のなかで、 「 すいか さあ どうぞ 」 と語っている 人物がいます。
この人物を、 「 語り手 」 といいます。
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ところで、
この語り手は、 誰にむけて、 「 さあ どうぞ 」 と言っている のでしょうか。
文章を読むかぎり、 まったく わかりません。
この相手が 誰なのかを 意識して 読んでみますと、
謎ときの おもしろさが あります。
しかし、
とにかく、このように 呼びかけられている 人物がいます。
この人物を、
いま 「 聞き手 」 とよんでおきます。
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一般に、 「 聞き手 」 はおはなしに 顔をだしませんが、 「 あなた 」 や 「 きみ 」 と 呼びかけられている ときがあります。
読者は、 この 「 聞き手 」 を意識することなく、 直接、 自分に 語りかけられた言葉として 聞くのでは ないでしょうか。
しかし、
この絵本の場合、 「 聞き手 」 が描かれています。
最後に 登場した 女の子でした。
聞き手は、 絵で 表現されています。
最後のページに、
「 聞き手 」 の女の子が 描かれていることに、
意外な感じを もつのではないでしょうか。
読者は、
自分に向けて、 「 さあ どうぞ 」 と、言われていると ばかり思っていたのに、
自分ではなく、
女の子に向けられていたことを、
最後になって発見します。
この結末は、 複雑で 微妙な 感情体験を 生みだすことと思います。
「 この女の子は、 わたし 」 と言う子ども ( 読者 ) も いることでしょう。
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食べてみたい果物が、
リアルな絵で 描かれていて、 読者を 引きこむ力のある 絵本です。
ひとりでも、楽しめますが、
親子で、 対話しながら、 読みたい絵本です。
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※『くだもの』 平山和子作 福音館書店 1981年
平山和子さんの絵本に『やさい』(福音館書店)もあります。
(2013/8/9)