ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 はるがきた 』- 「まちを はるに しようよ!」

なかなかやって来ない 春。

街は灰色、街路は枯れ枝ばかりです。

人びとは、暗くしずんだ気持ちでした。

そんな時、

おとこのこが、思いつきます。
「ねえ!どうして はるを まってなきゃ いけないの? まってなんか いないでさ、ぼくたちで まちを はるに しようよ!

      ・・・

そのアイディアは、街中に 絵を描くこと。

塀に はっぱ、つる、

壁に ラッパスイセン。

外とうや消火栓は、あかるい青、黄色のしましまに。

ビル

銀行

郵便ポスト

パンや

波止場のさんばし

黒いガスタンク

遊覧船

つり橋

電車……

どこも明るく輝いています。

       ・・・

ところが、その晩、

雨が降り、

朝になると、

街中の花、みどりはすっかり、流されてしまいました。

        ・・・

でも、

その雨が 

花やみどり、

つるや若葉、クロッカスの芽、ちいさなシダ、タンポポを育てます。

動物たちは、地面の匂いをかぎ、あたたかい太陽の下で昼寝をします。

子どもたちは、ローラースケートに油をさし、自転車をみがきました。

すべてのものが目覚め、輝いてきました。

ほんものの はるが やってきたのです

『 どろんこハリー 』のコンビの絵本です。ハリーと同じような犬(ワイヤー・フォックス・テリア?)が、春を喜び街中を走っています。春の訪れを待ちわびていたのは、草花、木々、子ども、大人、どうぶつたちです。街の中のいろいろな場所と人々の姿がていねいに描かれています。みんな幸せそうです。1956年初版です。

残念ですが、多民族社会のアメリカがまだ絵に描かれていません。とは言え、親しみやすい絵と春を待ちわびる心がテーマの素敵な絵本です。

       ・・・

※『はるがきた 』ジーン・ジオン文、マーガレット・ブロイ・グレアム絵、こみやゆう訳、主婦の友社 2011年  (2020/2/24)

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