「ぼくはしんだら がいこつになりたい」
びっくりする言葉から始まります。でも、なぜなのでしょうか? この絵本、「ぼく」の恋心を描いているように思いました。がいこつに託して自分の思いを語っています。
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がいこつになりたいのは、
ようこちゃんと遊びたい、
手をつないでいたいから、
ようこちゃんに、がいこつの気持ちを教える、
そして、
いつまでもいつまでも ようこちゃんと遊ぶ。
(みんな「ぼく」の想像です)
そして、現在の気持ちも,書かれています。
ぼくはぶらんこにのり、
風を感じ、いい気持ちになるだろうと想像しています。
なんでも見えるし、なんでも聞こえる。
骨を鳴らして、かたかた笑う。
むかしのことも忘れない、とも言っています。
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がいこつになった後のことも,想像しています。
みんなは、じろじろぼくを見るだろう、
いじめるだろう。
でも、ぼくはへいき。
お腹もすかない、
死ぬのもこわくない。(苦笑)
だから、
「ぼくはいつまでもいつまでもようこちゃんとあそぶ」のです。
「ぼく」はがいこつになって、空想の中で「いつまでもいつまでも ようこちゃんとあそぶのです。ようこちゃんと遊びたいのです。現実の世界では、「ぼく」はようこちゃんと遊べていないのでしょう。
「いきているときには わからなかった きもちをつたえる」とがいこつは言っています。 言いかえれば、素直に気持ちを伝えることができない「ぼく」なのです。がいこつになれば、みんなできると「ぼく」は想像しています。少年の「ぼく」のようこちゃんへの恋心。だれにもあったこころが共感を呼びます。
また、がいこつがぶらんこに乗り、風を感じ、いい気持ちになるだろうと想像したり、骨を鳴らしてかたかた笑ったり、お腹も空かないし死ぬのもこわくないというところにユーモアを感じます。また、絵本の中のようこちゃんは、がいこつを全く気にしていません。「ぼく」の想像の中にいるようこちゃんだからでしょう
和田誠さん(1936年-2019年 )のがいこつの絵にユーモアを感じます。また、。明るいタッチの和田さんの絵が「ぼく」の思いをすっきり伝えています。
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※『 がいこつ 』 谷川俊太郎作、和田誠絵、教育画劇 2005年 (2021/9/17)