くつしたは ぼうし?
くつしたを めぐる 大騒動です。
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冬が きます。
リサは 冬もの だして 外へ はこびました。
物干しに つるした 冬ものから、
毛糸の くつしたが 吹きとばされました。
知りたがりやの はりねずみの ハリーが、
くつしたを 見つけます。
鼻を つっこむと、くつしたは はりに ささって とれなくなりました。
めんどり かあさんは
「 コーッ コッ くくく。 ハリーは なにを かぶってるの 」
「 あたらしい ぼうし。いいでしょう? 」
ハリーは、ぼうしだと 言い張ります。
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やかましやの がちょうは、
「 グワッ グワッ ぐはは。いぶくろ かついだ はりねずみだ 」
「 フンだ。これさえあれば あめでも へいき 」
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きのうえの ねこ。
「 ミャーオ おほほ。みっともない はりねずみだこと 」
「 おかげで ふぶきでも あたたかい 」
つぎは、
いぬの おやこ。
ぶたの かぞく。
こうま。
はりねずみの ぼうしを
みんな みょうなもの、へんてこりん と言って 笑います。
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みんなに 笑われて うんざり。
ぼうしのために 巣穴にも はいれません。
リサが、やってきて
はりねずみの くつしたを はずしてくれました。
おかしな はりねずみさんね。どうぶつは ぼうしなんて かぶらないのよ。
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物干し場の 冬ものが 風に飛ばされ、
みんな 消えています。
どこへ いったのでしょうか ?
( 下の絵を 見てください。 )
ぼくも
わたしも
これで すてきな ぼうしもち!
知りたがり屋の はりねずみの 大失敗です。
はりねずみのように、くつしたを被るようなことはしませんが、喩えとして見れば、私たちの中にも、ありそうな出来事です。おはなしは、寓話のようです。
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絵がとても魅力的です。人物やものの質感がしっかりと描かれています。画面の右と左に絵があります。また、物干しにつるされた冬ものも 表現されています。それが、だんだん すくなっていく発見もあります。こうして、読者の視線は、ひとつの絵のなかを めぐります。異なる時間と場所が、ひとつの絵の中に 表現されています。じっくりと 絵を見ながら、子どもたちともうひとつのストーリーを紡ぎだしてください。
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※「 ぼうし 」 ジャン・ブレット作、松井るり子訳 ほるぷ出版 2005年 (2017/10/24)