ふるはしかずおの絵本ブログ3

『夜をあるく』- あたらしい日をむかえるために

夜、家族4人が あるきだす。

どこへ 行くのでしょうか?

     

   

 「ふたりとも、おきて」 

 ママが ささやく

  

夏の 夜なか

ぼくたちは 着替える

外に でると 

コオロギが 鳴いている

アヤメと スイカズラの におい

   

ぼくたちは 家族4人で 町を あるいていく

   

山の ふもとから  

谷から つづく 山道を すすむ

ひっそりとした 森のなかを すすんでいく

しめった苔や 木の皮の におい

足元で 枯れた枝が ぽきりと おれた

さわさわと 揺れる 木の葉

   

    

 あっ、あれは・・・

 みずうみだ!

   

   

みずうみに おつきさまが おふろに はいっているみたい

カエルの声が きこえる

草むらに ひびきわたる 虫の音

草むらに 寝転んで 見上げる 星空

   

 こんなに 星があるなんて

   

「そろそろ 行こうか、おくれたら たいへんだ」

と、パパが いった    

ぼくたちは 山の 斜面を のぼっていく

もうすこしだ

 

   

ふー、まにあった

ぼくたちは 目を こらす

もうすぐ、もうすぐだ

そして、ついに・・・

 

  わあ!

  

    

 それっきり しゃべるのも わすれて みとれる

 いま、あたらしい いちにちが はじまるんだ

   

           

静かな夏の夜。

コオロギの声、アヤメやスイカズラの匂い、昼間の温かさが残る夜、窓のあかりが輝くホテル、町はずれの家の小さな光、列車の車輪の音、星空、満月。たくさんの「もの」や「こと」と出会いながら進む、ぼくたち4人。読者も、ぼくたちといっしょに、夜の道をあるき、山に登っていくことでしょう。

    

夜明け前、山の稜線が輝いてきます。そこからのぼる日の光は、「あたらしい いちにち」のはじまりをつげています。絵本の朝のように、「あたらしい いちにち」が、すべての人に訪れるように願います。

         ・・・

※『夜をあるく』 マリー・ドルレアン作、よしいかずみ訳 BL出版 2021年 (2026/1/14)

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