
すこし怖い怪談風のおはなしです。
10月のある夜
おばあさんと くろねこの トムは
お墓ほり仕事に でかけた
おじいさんの 帰りを まっていました
すると、
おじいさんが 駆けこむように もどってきました
「トム・ティルドラムって いうのは
どこの どいつだ?」
墓ほりの途中で ねむってしまった おじいさんは
ミャーオという 鳴き声で 目がさめ、
ねこの葬列を 見たというのです
ミャーオ
トムが なきました
「わしは 9ひきの ねこを 見たんだ
みんな、うちのトムに そっくりなんだ
3ぽ あるくたびに ねこたちは そろって なきさけぶんだ」
ミャーオ
トムが また なきました。
「ねこたちは わしのところに やってきて
わしの ことを ますっぐに みるんだ」
「つづけて つづけて」と、おばあさん
「いちばん おおきな ねこが かんだかい声で いったんだ」
トム・ティルドラムに
ティム・トルドラムは しんだと
つたえて おくれ!

「トムを ごらんよ、トムを!」と おばあさんが さけびます
トムは からだを ふくらませて
かんだかい 声で さけびました
なんだって
ティムが しんだ!?
ならば、この おれ ――
トム・ティルドラムが ねこのおうさまだ!!
煙突を かけのぼって
トムは どこかへ いってしまい
にどと もどって きませんでした
ジョセフ・ジェイコブス(1854–1916)の幽霊話です。彼は、イングランドの民話を体系的に採集・編集し、『イギリス昔話集』(1890)などにまとめました。「ジャックと豆の木」「3匹のこぶた」はよく知られています。
猫の世界にも、人間の世界と同じように、王位継承があるようです。それは、わたしたちの知らない世界です。わたしたちが知っている世界が世界のすべてではない、ことを教えてくれます。
幽霊話は語りがたいせつですが、ガルドンの再話は、さいごのトムのことばに向かって、緊迫感と不気味さが、どんどんましています。読んでみることで、魅力が増す絵本です。
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※『ねこのおうさま』 ポール・ガルドン再話・絵、石津ちひろ訳、好学社 2025年 (2025/12/12)









