ふるはしかずおの絵本ブログ3

『いのちの木』- いのちの力、いきる支えの木

親しい人の「死」をどのようにうけとり、「喪失感」をどのように癒すのか、心の問題がえがかれています。

   

  

森に住む、

年老いた キツネ

お気にいりの 場所で、

だいすきな 森のけしきを ながめ、亡くなりなりました

   

  

フクロウ、リス、イタチ、クマ、シカ、トリたち、ウサギ、ネズミが 

やってきて キツネのまわりに すわりました

みんな、だまったまま すわりこんで いました

   

   

みんな キツネとの思い出を かたりだします

  

 フクロウは 秋に 落ち葉ひろいの きょうそうをしたこと

 ネズミは 夕陽を いっしょに みたこと

 クマは コグマの世話を してもらったこと

 ウサギは おにごっこを したこと

 リスは 木の実を ほりだして くれたことを

 かたります

    

    

そのあと

キツネが よこたわった 雪のしたから

オレンジの 芽が でてきました

  

芽は 

すこしずつ おおきくなり、

ちいさな 木に なりました

    

   

オレンジの木は うつくしい すがたに 成長し

森いちばんの 高い木に なりました

    

 トリたちは 葉かげに すを つくり

 フクロウは ひなを そだて

 リスは 幹に すまいを みつけました

 クマ、シカ、ウサギは 木のねかたで やすみました

   

  

木は 

キツネの ともだちたち すべての 

いのちの ちから

いきる ささえと なったのです

    

            

 「キツネを おもいだすたびに、

  おもく しずんでいた みんなのこころは、

  かるく はれやかに かわっていくようでした」

     

                       

森の仲間たちは、キツネの思い出話を みんなでするうち、すこしずつ癒されていきました。

   

親しい人の死をどのように受け入れて、生きていくのかということは、私たちのいまの問題です。絵本は、親しい人との思い出を語ることのなかに、悲しみを癒す力を見いだしています。「喪失」「悲しみ」といった心の問題グリーフケアをテーマにした、ある意味、大人向けの絵本です。

     

          ・・・

※『いのちの木』 ブリッタ・テッケントラップ作・絵、森山京訳、ポプラ社 2013年 (2026/1/9)

SHARE