ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ヒロシマ 消えたかぞく』- 写真のなかに残る笑顔

戦時中の 広島の家族の 写真集です。

前半は、わたし(公子)の視点から、

後半は、語り手の視点から 書かれています。

 

 

うちはね、

広島の町の はりまや町に あるの

とうさんは 鈴木六郎。とこやです。

かあさんは フジエ

秀秋にいちゃんと わたしの 四人家族です。

   

   

おとうちゃんは、写真を撮るのが すき。

  

   

 ピクニックって、だーいすき!

 いいだしっぺは 

 いつも おとうさん

 おかあさんは ニコニコ

   

 おとうとの 護が うまれた!

 護の つぎに、昭子も うまれたの。

  

   

 あしたは、なにを しようかな

 ね。おにいちゃん?

     

 

    

昭和20 年8月6日、午前8時15分、広島の上空に、原爆が落とされた

   

   

六郎さん(43歳)は、「重症後死亡」

フジエさん(33歳)は、家族がみな、亡くなったことをさとり、

井戸に飛びこみ 自殺。

英昭くん(12歳) 数日後 死亡。

公子ちゃん(9歳) 御幸橋付近で 消息不明。

護くん(3歳) 

昭子ちゃん(1歳)は、

焼け跡から 小さな骨になって 見つかりました。

  

    

 公子ちゃん一家は 原爆で 一家全滅しました

    

    

       ・・・

家族のアルバムの絵本ですが、読むのもつらくなります。写真に写っている人たちが、みんな原爆で 亡くなっていることを知っているからです。

    

前半は、公子ちゃんの視点から 書かれた文章です。公子ちゃんによりそって、絵本を読みます。

後半は、語り手が変わります。外から、客観的に、写真を見る体験に変わります。語り手は、淡々とかたりますが、さいごに「すべてをうばいさった、あの原爆。でも、このかぞくが生きたあかしを消すことまでは、けっしてできません」と自分の思いを述べています。

      

公子ちゃんの視点と原爆の悲惨さをつたえる語り手の視点によって構成されていますが、はじめから最後まで、しあわせな家族写真はかわりません。鈴木さん一家の笑顔をみるたびに悲しみが募ります。怒りがうまれます。

    

       ・・・

※『ヒロシマ 消えたかぞく』 指田和・著者、鈴木六郎・写真 ポプラ社 2019年  (2024/5/23)

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