ふるはしかずおの絵本ブログ3

『でんしゃは うたう』-電車に乗っている気分です

タイトルは『でんしゃは うたう』です。「電車」が「歌う」ってどういうことでしょう。読者への仕掛けがあります。

     ・・・

「でんしゃが まいりまあす」。

かかっ、かかっ

すしん こっこっ

駅についた電車が、次の駅に着くまで電車の音で表現しています。

     

「はっしゃしまあす」

ぷしっ ごろろー ぽっ

     

たたっ つつっつつ たたっ つつっつつ どどん

ねん ねん ねん ねん (踏切の警報音

たたっ つつっつつ たたっ つつっつつ どどん

ぼっ しょん しょん しょん

たたっ つつっつつ たたっ つつっつつ どどん

たたっ つつっつつ たたっ つつっつつ どどん

 (鉄橋を渡るとき音

ごどん どどっどど ででん だっだっだだ だだん

ごどん どどっどど ででん だっだっだだ だだん

  

 (次の駅にちかづくと

たたっ つつっつつ たたっ つつっつつ

ぎいー ぎよぎょぎょぎょ だだっ だだどどん

ぐぐぐぐぐー

かんかんかん

かかっ かかっ かっ

ぷしゅっ しゅっ しいー

ぷしっ ごろろー ぽっ 

「おあしもとに ごちゅういください」

     ・・・

電車の音はだいぶ省略しました。絵本の文はほとんどオノマトペです。 それを「電車」が「歌う」と表現しました。また、電車の窓からはさまざまな風景を楽しむことができます。猫がいます。犬がいます。公園があります。そば屋、床屋、ケーキ屋、ラーメン屋、八百屋、うどん屋、米屋、アイスクリーム屋も見えます。子どもは絵からたくさんの発見をすることができるでしょう。文と絵がそれぞれの役割をもち、ひとつの絵本となっています。文と絵の二重奏です。

     ・・・

※『でんしゃは うたう』 三宮麻由子文、みねおみつ絵、福音館書店、2009年

 

【 追 記 】

電車のオノマトペのことで、有馬敲の詩「かもつれっしゃ」とバージニア・リー・バートンの『いたずらきかんしゃちゅーちゅー』を思い出しました。「かもつれっしゃ」の詩はすべて電車の音です。絵本は機関車の「ちゅう ちゅう」が古い線路に迷い込み動けなくしまう場面がおもしろいところです。

 

 ちゅう ち ・・・・ ち ・・・・ ち 

 ち ・・・・ ち ・・・・ ち 

 あ  あ  あ  あ  あ  ああ

 ちゅう !                  (2021/12/10)

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