ふるはしかずおの絵本ブログ3

『おなかの かわ』- ねこの身の破滅

欲深いねこは、結局、じぶんの「おなかの かわ」を縫う(?)はめに。

   

       ・・・

くいしんぼうで 

けちな ねこが 

おうむと かわるかわるに ご馳走によぼうと はなしあいました。

    

    

おうむに よばれた 

ねこは、

焼肉 くだもの お茶 くっきー500個を 食べつくし、

おうむまで まるのみに してしまいました。

  

それを見ていた おばあさんまで

 

 「ついでに おまえさんも 食ってやろうか、ほら

  

ねこは、

ごくん まるのみに してしまいました。

 

  

ねこは、

ろばと うまかたに であいました。

どけ、と言われると、

   

   

  ろばなんぞ こわいもんか

  ぼくは いま、くっきーを 5ひゃくと 

  ともだちの おうむ 

  おばあさんを ひとり くってきたところだ。

  おまえさんたちも 逃げようたって そうはいかないぞ、

  ほら

    

   

ふたりを 飲みこんで しまいました。

    

   

つぎは おうさまと おきさきと へいたいたちと たくさんのぞうです。

    

ねこは、

ここでも 同じことを 言い、

ぺろり ごくん ぺろり ごくん ぺろぺろ ごくごく・・・

みんな まるのみに してしまいます。

 

 

 2ひきの かにに あいました。

 かににも 同じことを 言い、

 ぺろり ごくんと かにたちを のみこみました

   

   

しかし、

かにたちは、

ねこの おなかの かわを 

じょき じょき じょき じょき・・・

はさみで、あなを あけました。

    

   

かにが おもてに はいだすと

おうさまと おきさき へいたい ぞう うまかた ろば おばあさんが 飛びでました。  

さいごに、おうむが 飛んで でました。

   

 ねこは、おなかの かわを ぬうのに

 いちにち かかったと いうことです。

     

         ・・・

なんでもぺろりと飲み込むねこでしたが、最後にはきちんと罰がありました。大食漢のねこの絵本は、ほかに『はらぺこガズラー』(ほるぷ出版)があります。牧師さんからお月様まで、何でも食べてしまうガズラーですが、最後にお日さまを食べようとして、パカッーン。いっかんの終わり。自業自得の身の破滅でした。

    

このねこにも、「パッカーン」と破裂する、ガズラーのようなきびしい罰があってもよいように思いました。他のものを飲み込むような欲深さは、自分を傷つけ、なんの利益も得られないという教訓です。

    

「ぺろり」「ごくん」「ぺろり ごくん ぺろぺろ ごくごく」。ねこの大食いが、これらのオノマトペによく表現されています。

     ・・・

※『おなかのかわ』 瀬田貞二再話、村山知義絵、福音館書店 2017年(初版1977年)  (2024/5/24)

 

【追記】

『おなかのかわ』の初版は、福音館書店「こどものとも」の1957年11月号でした。「アメリカのブライアントのお話集から鈴木三重吉が訳した物語を、演劇・美術等の多方面で活躍した村山知義が描いた絵本」(福音館書店ホームページ)です。

SHARE