ふるはしかずおの絵本ブログ3

『うみ』- 「うみ」は魚たちの母

魚たちを愛する「うみ(海)」のものがたり。

   

     

うみは 

さかなたちを とても 愛していました

寝るまえには、ものがたりを いつも よんであげていました

       

でも

うみは、さかなたちの おふざけに つかれてしまい

さかなたちのいない しずかな ところへ 

いけたら いいのにと思いました

    

    

ある日

それは おきました

うみは さかなたちをおいて 

どこかへ いって しまったのです

でも、さかなたちは おふざけに 夢中です

   

      

ところが、寝る時間が きても

ねむることが できません

さかなたちは いつもの ものがたりがないのに 気がつきました

  

       

はらぺこネコが やってきました

さかなたちは

「本をよんで」と さけびました

    

 「本を よみおえたら おまえたちを たべてやる」

  と、ネコが 言いました

     

さかなたちは 

ネコの じょうけんを のんでしまったのです

あらあら さかなたちたったら まったく なんてこと!

     

  

ネコが 本を 読みきかせると

さかなたちは 

なつかしさに つつまれ

うっとりして

なき だしました

みんな ないています

     

あたりは ぴしゃぴしゃ ざぶざぶ

涙で あふれかえりました

      

すると どうでしょう!

うみが ふたたび あらわれました

     

うみは ものがたりを ていねいに よみました

    

     

うみは 字を よむことも おしえました

うみは まなぶことの たいせつさを

じっくり つたえました

     

 「なんて すばらしい ひとときでしょう」

 うみは ほほえみました

    

    

「うみ」は魚たちの母のような存在です。魚たちは子どもの喩えです。

魚たちは、遊ぶことに夢中になっていて、海がいなくなってしまったことにも平気でしたが、海がいないと物語を聞くことができません。魚たちは、失ったたいせつなことを知りました。涙があふれました。「うみ」は、きっとどこかで魚たちのことを見守っていたのでしょう。ふたたび、すがたをあらわしました。読者も一安心です。

      

デザイン性にあふれた絵です。また、語り手が、おはなしのなかで、「あらあら 魚たたったら まったく なんてこと!」と、自分の思いをのべています。幼児の文芸ではよくみられることです。

            ・・・

※『うみ』 ビレット・ラウド作、内田也哉子訳、岩波書店 2023年 (2026/3/12)

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