・『 あかい ふうせん 』 イエラ・マリ ほるぷ出版 1976年
文字のない絵本です。あかい風船ガムが、ふうせん、りんご、ちょう、はな、かさに変身していきます。赤の強烈な印象、デザイン的な絵、洗練された構図、流れるイメージ。とてもおしゃれな 絵本です。文字はありませんが、読み手と聞き手が「対話」するようにして、おはなしを紡ぎだしてください。そして、変身のおもしろさを楽しんでください。
・『 あーん 』 下田昌克絵、谷川俊太郎文、クレヨンハウス 2013年
「あーん、ぱく、ごくん、ああーん、ぱく、んぐ、あああ ―― んん、ぺきぺき・・・ ぶお ――、ぷーん」。「ぱく」と食べて「ぺきぺき つんつん」とからだに取りこみ、「ぶひ」とおならをして「ぶお ――」とうんち。絵がストーリーを語ります。ユーモアが楽しい絵本です。
・『 いない いない ばあ 』 松谷みよ子文、 瀬川康雄絵 童心社 1967年
ちいさな子どもにとって、この世界は見なれぬものでいっぱいです。はじめは、ねこ、くま、ねずみ、きつねの顔が見えなくなります。でも、ページをめくると、ばあ! 絵本の人物とのうれしい再会です。あるものは常にそこにあります。何回もくりかえされることで「こうすれば、こうなること」を発見します。“ ばあ ” の音のおもしろさ。“ ばあ ” をする人物と目と目があいます。
・『 いぬが いっぱい 』 グレース・スカール作、やぶきみちこ訳、福音館書店 1986年
絵本のなかの「いぬ」は、性格、色、大きさ、状態が違います。「おりこう」「いたずら」「しょんぼり」「げんきな」「のんびり」「せっせと」「はらぺこ」「おなか いっぱい」のいぬ。いろいろな種類、性格、状態の犬が全部でています。でも、みんな、わんわんです。「みんな ちがう。でも、みんな おなじ」です。題材はいぬですが、子どもにも当てはまります。子どもの見方を教えてくれる絵本です。猫がお好きな方には『ねこがいっぱい』という絵本があります。
・『 かずあそび ウラパン・オコサ』 谷川晃一作、童心社 1999年
1はウラパン。2はオコサ。このように決めて、1と2だけの数あそびです。「さるが いっぴき」でウラパン。「こどもは ふたり」でオコサです。3つだったら、「かずが ふえたら オコサを さきに かぞえて のこりは ウラパンにしてね」。だから、3つだったら、オコサ ウラパン。さるの鼻はウラパン。くちは、めは、みみは、ながいしっぽは? みなさんのお子さんの体から始めましょう。数あそびを楽しめる絵本です。
・『 がたん ごとん がたん ごとん 』 安西水丸 作、 福音館書店 1987年
「がたん ごとん/がたん ごとん/のせて くださーい」。はじめに乗るのは、ほにゅうびん。機関車は、ちょっぴりうれしそうです。こんどは、赤いコップとスプーン。リンゴとバナナ。ねことねずみ。まじめな表情のちいさな機関車。親しみやすく、りきみのない安西水丸さんの絵。身の周りのものが絵本にでてきます。ものではなく表情をもった人物です。そして、絵本の中で再会です。
・『 きたきた うずまき 』 元永定正作・絵 福音館書店 2005年
絵( 視覚 )とオノマトペ( 聴覚 )で、本当に目がまわりそうな絵本です。実際、ぐるぐるまわすように絵本を動かすと、うずまきが動いて見えます。音の響きも面白い。調子やイントネーションなどを変えて 読みかたりをすると、さらにたのしい絵本になることでしょう。『きたきた うずまき』の演奏者になるような気持ちで読んでみてください。
・『 ぎゅっ 』 ジェズ・オールバラ作・絵 徳間書店 2000年
原題は“HUG” チンパンジーのジョジョが主人公です。絵本の言葉は「ぎゅっ」「ジョジョ」「ママ」の3つだけ。絵がおはなしを語ります。言葉ではないシンプルな愛情表現の「ぎゅっ」。親子のコミュニケーションの「ぎゅっ」。子どもをぎゅっとしながら読みたい絵本です。
・『 きんぎょが にげた 』 五味太郎作 福音館書店 1982年
「きんぎょは、どこいるのかな ?」きんぎょを見つけて、嬉しそうに指さす子ども。子どもとおはなしをしながら読んでみましょう。子どもたちは、ものごとをくらべ(比較)、おなじところ(同一性)とちがうところ(差異性)をみる見方を身につけています。
・『 くっついた 』 三浦太郎 作・絵 こぐま社 2005年
「きんぎょさんと きんぎょさんが くっついた」。あひるさん、ぞうさん、おさるさんと続きます。そして「おかあさんと わたしが くっついた」。「わたし」のところは、お子さんの名前でどうぞ。絵本を読んだら、くっついた遊び( スキンシップ )。手と手、鼻と鼻、足と足、おでことおでこがくっついた ・・・。「何かと何かがくっつくことは、とても幸せなこと」と作者は言っています
・『 くだもの 』 平山和子作、福音館書店 1981年
「すいか さあ どうぞ」。もも、ぶどう、りんご、ばなな・・・さあ どうぞ。食べてみたい果物がリアルな絵で描かれていて、読者を絵本に引きこみます。読み手と聞き手が対話をしながら読みたい絵本です。『やさい』も平山和子さんの絵本です。
・『 これは のみの ぴこ 』 谷川俊太郎作、 和田誠絵、 サンリード 1979年
「これは のみの ぴこ」「これは のみの ぴこの/すんでいる ねこの ごえもん」「これは のみの びこの/すんでいる ねこの ごえもんの/しっぽ ふんずけた あきらくん」。つみあげ唄(accumulative rhyme)とよばれる言葉遊びです。イギリスのマザーグースに源流があります。言葉の連なりが与えてくれるリズム、動き、調子におもしろさがあります。ユーモアが絵本の魅力をたかめています。
・『 ころ ころ ころ 』 元永定正作、 福音館書店 1984年
「ころ ころ ころ」。あか、あお、くろ、みどり、きいろ、むらさき・・・、さまざまな色の玉がころがります。子どもは動くものが大好き。目で追いかけてみましょう。本当に動いているようです。また、「ころ ころ ころ」を読む調子をかえてみましょう。ちからづよい、しずかな、たのしい、うきうきした、かなしい、たかい、ひくい、ちいさい、おおきい、はげしい声で・・・。読みかたりの楽しい絵本です。ことばは音声のなかで生きてきます。
・『 じゃあじゃあ びりびり 』 まついのりこ作・絵 偕成社 1983年
じどうしゃは ぶーぶー、いぬは わんわん、みずは じゃあじゃあ、かみは びりびり、そうじきは ぶーんぶーん…、声喩(オノマトペ)で出来ている絵本です。ファーストブックに最適な絵本のひとつです。オノマトペは、ものごとや人間の心理などに対する繊細な感覚を育てます。日本人としての感覚、ものの見方をつくります。
・『 ぞうさん 』 まど・みちお詩 にしまき かやこ絵 こぐま社 2016年
誰でも知ってる童謡、誰もがうたった童謡「 ぞうさん 」。にしまき かやこさんが素敵な絵をつけました。「 一番好きな かあさんも長いのよと 誇りをもって言えるのは、ゾウがゾウとして 生かされていることが すばらしいと思っているから 」(まど・みちお)。シンプルなことばの中の深い意味。「 ぞうさん 」( 團伊玖磨作曲 )は歌い継がれてゆくことでしょう。「 せんねん まんねん 」と。
・『 だっだぁー 』 ナムーラミチヨ作 主婦の友社 2010年
赤ちゃんの言葉遊びの絵本。「ほっほー ほつほー ほー ほー ほー ほーーーん」「ふにゃ はにゃ ほにゃ ふわーん ふわーん ふわーん」。おもしろい言葉、音を楽しむ言葉が並んでいます。絵本のなかのカラフルなお化けは、赤ちゃんの守り神です。
・『 はけたよ はけたよ 』 神沢利子文、西巻茅子絵 偕成社 1970年
たつくんは、ひとりでパンツをはけません。片足をあげると、どでん!
「えい、 パンツなんか はかないや」。 たつくんは、おしりを出したまま外に出て、みんなに笑われます。でも、しりもちついたままはくと、あらら、パンツがはけちゃった。自立への大きな一歩です。子どもは「こうなってほしい」という眼差しに見守られ、それに応えようとして大きくなっていきます。
・『 はなを くんくん 』 ルース・クラウス文、マーク・サイモント絵、木島始訳、福音館書店 1967年
のねずみ、かたつむり、りす、やまねずみ、くまが、雪の下で眠っています。でも、みんな目をさまします。「みんな はなを くんくん」。みんな駆けだします。何があるのでしょうか。リズム感のある文章です。読んでみますと、スピードをだんだん増していく列車のような感じです。動物たちが見つけた黄色い花。ちいさな春を見つけたよろこびです。美しいものに感動する心を描いています。
・『 パンツの はきかた 』 岸田今日子作、佐野洋子絵、福音館書店 2011年
俳優の岸田今日子さんの文。絵は『100万回生きたねこ』の佐野洋子さんです。「パンツはね はじめに かたあし いれるでしょ♪」の歌にあわせて、ぶたさんがパンツをひとりではきます。ぶたさんの真剣な顔、楽しそうな顔、誇らしい顔が楽しい。ゆったりとした雰囲気でユーモアもあります。譜面もついています。
・『 ぴょーん 』 まつおか たつひで作・絵 ポプラ社 2000年
何回もくりかえされることで、子どもは「こうすればこうなる」ことを発見します。期待をもって見ていると、かたつむりを除いて、みんな、ぴょーんです。ページをめくる楽しみがうまれます。予想があたってにっこり。 鳥・獣・虫・魚。 鳥はいませんが、魚までぴょーん。 飛ぶ姿がとてもユーモラスです。
・『 みんな うんち 』五味太郎作、福音館書店 1981年
うんちをする動物たちの姿を描いた、生命賛歌の絵本です。実に22回も「うんち」という言葉がでてきます。いろいろな「形」「色」「におい」。生きものたち(鳥獣虫魚)は、それぞれ自分にあった多様な生活を営んでいます。食べものも違います。住むところも違います。うんちを通して、生きものたちの異なる生活が見えてきます。「いきものは たべる( 生きて いる )から/みんな うんちをする」をするのです。
・『 もこもこもこ 』谷川俊太郎作、元永定正絵、文研出版 1977年
「もこもこもこ」の絵本は、オノマトペから出来ている言葉遊びの絵本です。「しーん、もこ、もこもこ にょき、もこもこもこ にょきにょき、ぱく、もぐもぐ、つん、ぽろり ・・・。「もこもこもこ」と出てきたものは人間。「ぱくぱく もぐもぐ」と環境破壊。でも、身からでたものがパチンと破裂。それは、もしかしたら、核兵器? みんな「ふんわ ふんわ ふんわ・・・」。静けさを取りもどした地球。最後にもう一度「もこ」。「もこ」と現れるものは、何でしょうか? ことば遊びの絵本から地球の未来を考えます。
・『 やさいさん 』 ツペラ ツペラ(tupera tupera)作、学研 2010年
「いない いない ばあ」の形式の絵本ですが、しかけ絵本になっているところに工夫があります。やさいの表情も楽しい。しかけをめくると、大きくなったやさいが飛びだし、びっくり。そして「すっぽーん」の言葉(音)が、かぶってきます。絵と文の相乗効果です。「すっぱーん」の読み方をいろいろとかえて読んでみましょう。
【 その他の絵本 】
・『 あかちゃん 』 ツペラ ツペラ(tupera tupera) 作、ブロンズ新社 2016年
・『 あかあかくろくろ 』 かしわばらあきお絵、学研 2010年
・『 あかちゃんたいそう 』 鈴木まもる作・絵 小峰書店 2011年
・『 いいかお 』 松谷みよ子文、瀬川康夫絵、童心社 1967年
・『 いない いない おかお 』北川チハル作、三原由宇写真、LaZOO・デザイン アリス館 2013年
・『 いないいないばあ あそび』 木村裕一作、偕成社 1989年
・『 おさじさん 』 松谷みよ子作、東光寺啓絵 童心社 1969年
・『 おつきさまこんばんは 』 林明子作 福音館書店 1986年
・『 おててがでたよ 』 林明子作 福音館書店 1986年
・『 おひさま あはは』 前川かずお作、こぐま社 1989年
・『 きょうりゅう きょうりゅう』 バートン作・絵、中川千尋訳 徳間書店 2000年
・『 くだものさん』ツペラ ツペラ(tupera tupera)作、学研 2010年
・『 ごつん ふわふわ 』 谷川俊太郎文、なかのまさたか絵、福音館書店 1977年
・『 ごぶごぶ ごぼごぼ 』 駒形克己作、福音館書店 1999年
・『 しましまぐるぐる 』かしわらあきお絵、学研 2009年
・『 しろくまちゃんのほっとけーき 』 若山憲作、こぐま社 1972年
・『 だるまさんが 』 かがくいひろし作、ブロンズ新社 2008年
・『 ちいさなうさこちゃん 』ディック・ブルーナ作、石井桃子訳 福音館書店 1964年
・『 のせてのせて 』 松谷みよ子作、東光寺啓絵 童心社 1969年
・『 ぴよちゃんとさわってあそぼ! ふわふわだあれ? 』 いりやまさとし 学研 2008年
・『 ピヨピヨだあれ? 』 いりやまさとし 学研 2016年
・『 ぷれいぶっく』フィオナ・ランド絵 主婦の友社 、 2006年
・『 りんご りんご りんご りんご りんご りんご』 安西水丸 主婦の友社 2005年
・『 まて まて まて 』まつしませつこ絵、こばやしえみこ案、こぐま社 2005年
・『 もう ねんね 』松谷みよ子文、瀬川康夫絵、童心社 1968年