絵本のくりかえしには、どのような効果と意味があるのでしょうか。
1. テーマの 強調
2. 人物とその世界の 強調
3. 読者の体験の 強調
から 考えます。
1.テーマ の 強調
「 各場面をわずかに 変えながら同じ叙述をくりかえすことは、 ストーリーの 構成の上に意義をもってくる。 それは中心になる アイディア -城が長い眠りにとらわれるというテーマ - を強調し、それに一貫性を もたせる 。」
リリアン・スミス、 石井桃子 訳 『 児童文学論 』 岩波書店
くりかえしによって、子どもの意識の なかにうまれたイメージと意味をひとつ の方向にむけて強調します。意味づけられたイメージが、ゆたかに深められて いきます。そして、テーマを強調します。
2.人物 ( こころ と すがた ) と その 世界の 強調
『スイミー』のくりかえしは、スイミーという人物 の 強調です。
かんがえる スイミー
行動する スイミー、
教える スイミー、
リーダーの スイミーへと
スイミーの人物像はゆたかにふかくなります。
『 ぼくにげちゃうよ 』では、おやこの会話がくりかえされます。それは、子どもを愛するかあさんうさぎの強調です。くりかえしによって、母親の愛をうきぼりにします。
3.読者の 体験の 強調。
読み手または聞き手の側に、高まってゆく興味と期待をもたせる
リリアン・スミス 『 児童文学論 』
『 おおきな かぶ 』では、おじいさん、おばあさん、まご、いぬ、ねこ、ねずみが「うんとこしょ どっこいしょ」。
聞いている子どもまで、「うんとこしょ どっこいしょ」。
まだ、ぬけない !
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『3びきの くま』では、
「 だれだ 」
「 だれです 」
「 だれだい ・・・」
くまたちが、おんなのこが、ねているべっどに近づくと、子どもたちは大騒ぎ。スリル が高まります。
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絵本は、人物やものごとの本質・真実をくりかえしで表現 します。
それは、また子どもの認識のあり方を考慮しての方法です。人物のおなじような言動、おなじ出来事のくりかえしによって、ものごと(人物)の本質がわかります。子どもにとって、わかりやすいパターンです。絵本のくりかえし は、たいせつなことを認識し・表現する方法なのです。
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