『 三びきのこぶた 』 の絵本は数多くありますが、 瀬田貞二訳、 山田三郎画の福音館書店の絵本は、イギリス民衆の生活の厳しい現実が反映しています。
・・・
三びきのこぶたが、
家を出ることになったのは、こんなわけでした。
・・・
おかあさんぶたは びんぼうで、こどもたちを そだてきれなくなって、じぶんでくらしていくように、三びきをよそにだしました。
・・・
生活の貧しさという現実を、ここに見ることができます。
そして、 この後どうなるかは、みなさんよくご存知のことと思います。
ところで、
三番目のこぶたのことです。
れんがの家を建てて、おおかみを追い払う、かしこいこぶたのイメージがつよい
人物ですが、こんな場面があります。
・・・
「ねえ、こぶたくん。おれは、とてもいい かぶばたけの あるところ、しってるぞ」
「どこだい」
「ごんべさんのうらだよ。よかったら、あしたの あさ、さそいにくるよ。いっしょに とりに いこうよ 」
「よしきた、ぼくも いくよ。・・・」
・・・
ごんべさんの作っているかぶを 盗みにでかける おおかみとこぶたです。
なんと、 ふてぶてしい人物たちでしょう。
そして、
おおかみと6時に起きて、かぶを盗みにいく約束をしますが、こぶたは先回りして、おおかみをだしぬく、ずるさももっています。
・・・
今度は、
りんごの木のあるところを知ってるぞ、とおおかみは誘います。
5時のところを、今度は4時に出かけ、出し抜こうとしますが、りんごの木に登ってるうちに、おおかみがやってきてしまいます。
この危機を、こぶたはどのように乗りこえるのでしょうか。
りんごをひとつ遠くにほうり、おおかみがひろいにいってる間に、
「 いそいで にげかえりました。」
機転をきかせたアイディアで、この危機をのりこえます。
最後は、おまつりの場面です。
ここでも、「ばたーつくりの たる」に隠れて、おおかみから難を逃れるのです。
煙突からおりてきたおおかみは、最後には、なべの中にどぼんとおちてしまいました。
そこで こぶたは、 すぐさま さっと、 ふたを かぶせ、 おおかみを ことことにて、 ばんごはんに たべてしまいました。
この結末を子どもたちはどのように評価するのでしょうか。
それから、私事ですが、保育園にかよっていたとき、『3びきのこぶた』のおおかみの役をやったことがあります。 3びきのこぶたの家は、大型積み木でつくりました。 わらの家、木の枝の家を、おおかみの役のわたしが、ふー、ふー、ふーっと吹いて壊すのです。 でも、レンガの家は、何度吹いてもダメ。
ずっと昔のことですが、はっきりと憶えています。
・・・・・・
※『 三びきのこぶた 』 イギリス昔話 瀬田貞二訳、 山田三郎画 福音館書店 1967年 (2013/8/6)