「 あーあ、つまんないな。 なんにもすることがない 」。
クマネズミ は ためいきをつきました。パジャマを着たまま、一日中 ぼんやり。
そのとき、
カチャン。
手紙が届きました。
・・・
きみは すてきな ともだちです。
きみと ともだちになれて ほんとうに よかったと
おもっています。
・・・ それを つたえたくて てがみを かきました。
またね !
・・・
でも、名前がありません。
クマネズミは、カヤネズミかなと思って、 会いにいきます。
カヤネズミは、こわれた 屋根を直すのにいそがして、そんな時間はありませんでした。
クマネズミは、いっしょに 屋根を直すことにしました。
・・・
つぎは、 カエル。
でも、
カエルでもありません。
足を折っていたのです。
クマネズミは、 カエルのために買い物をしてあげました。
もぐらの 夫婦でもありません。
・・・
こんどは、 コウモリ。
コウモリは 怒ったように いいます。
「だれも ぼくに てがみを かいてくれないんだもの、 ぼくだって かくものか」
友達のいないコウモリは淋しかったのです。
その しょうこに パジャマを きたまんまでした。
・・・
そのばん、クマネズミは思います。
・・・
このてがみを だれが かいてくれたのか、
そのことは もう いいんだ。
ぼくは、 ほんとうの ともだちが どんなものか、
ぜんぜん わかって なかったんだ 。
・・・
つぎのあさ、
クマネズミは、みんなにパーティの招待状をくばりました。
もちろん、コウモリにも。
特別な手紙をつけて。
( その中身は わかりますね。 )
・・・
相手の喜びや悲しみを 自分のことのように感じることができるのは、とても たいせつなことです。ひとを思いやる心の美しさが えがかれています。
子どもたちは、
クマネズミたちのすがたを通して、
どのように生きることが 美しいことなのかを体験し、
その大切さを認識することでしょう。
・・・
ところで、
クマネズミに手紙を書いてあげたのは、誰かって?
それは、絵本を見ればわかりますよ。
・・・
※ 『 ともだちから ともだちへ 』 アンソニー・フランス作、 ティファニー・ビーク絵、 木坂涼訳、 理論社 2003年