今回の絵本は、 韓国の 『こいぬの うんち』 。
「うんち」の 絵本ですが、とてもすてきなおはなしです。
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こいぬが残した 小さなうんち。
「 うんち! きったねえ 」。
「 ぼくは うんちだって? ぼくは きたないん だって? 」
泣きだしたうんちを見て、土くれが笑いました。
「 うんちを うんちといわないで、なんというんだよ 」・・・
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誰の役にも立たない、
つまらない存在と思っていた うんち。
しかし、たんぽぽと出会いました。
たんぽぽは言います。
きれいな花を咲かせるのには、あなたにこやしになって ほしいの、
私のちからになって と。
こいぬのうんちは
うれしくて うれしくて
たんぽぽのめを ぎゅっと抱きしめました。
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雨にうたれ、こやしになった こいぬのうんちは、
たんぽぽの茎をのぼり …
そして、
たんぽぽは、つぼみをつけたのでした。
春のある日、きれいに咲いた たんぽぽ。
やさしくほほえむ たんぽぽのはなには、
こいぬの うんちの あい が
いっぱい いっぱい つまっていました。
1969年、キリスト教児童文学賞を受賞した童話からうまれた絵本です。この絵本を読んで、聖書のことばを思いだしました。
一粒の 麦、もし地に落ちて 死なずば、
ただ一つにて あらん。
死なば 多くの実を結ぶべ し。 『 ヨハネ伝 』 第12章 24節
うんちは、こやしとなり、たんぽぽの花を咲かせる助けとなったのでした。支えあうふたり。愛にもとづく行為には、むだがありません。
「 うんち 」を題材とするおはなしにとって大切なことは、
どのようなテーマなのか、
どのような 考えで書かれているのか、
そして、表現のユーモア であるように思います。
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※ 『 こいぬのうんち 』 クオン・ジョンセン文、 チョン・スンガク絵、 ピョン・キジャ訳、 平凡社 2000年 (2013/12/5)