ぞうは象色?
もし表紙のような象がいたら、どんなことが起こるのでしょうか。
「もし~ならば」の形でおはなしが創作されています。
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あるところに、たくさんのぞうが 住んでいました。
みんな しあわせ。
みんな 象いろ。
でも、エルマーだけは・・・
パッチワークのぞう。
きいろに オレンジ
あか ピンク
あおくて みどりで
むらさきいろで
くろくて しろい。
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エルマーは、ふざけることが大好きで みんなを楽しませます。
でも、エルマーは自分の色に悩んでいます。
「だいだい、パッチワークのぞうなんて へんだよね」
( そうだね )
エルマーは、こっそり でかけました。
象いろをした木の実をつけた木をゆすり、
その実で、自分のからだをぞう色にしました。
象色になったエルマー。
でも、だれも気がつきません。
ついに、エルマーは鼻をもちあげ、
さけびました。
ブオオオー!
・・・
みんなは、びっくりぎょうてん。
「エルマーだ!」
ぞうたちは、わらって、わらって、わらいました。
雨がどっさり降りだすと、
エルマーは、いつものパッチワークのエルマーにもどります。
「きょうを記念日にしよう」
「エルマーの日とよぼう」
「みんな いろいろな色でかざろう。でも、エルマーだけは ぞういろの ぞうになるのさ」
・・・
そして、
毎年いっかい、エルマーの日がうまれました。
花や星やハート柄のぞう、カラフルな縞模様のぞう、水玉模様のぞう、パッチワークのぞうがいます。そして、もちろん、エルマーもいます。
カラフルで陽気なぞうのエルマーは、きっと子どもたちの人気の的となることでしょう。しかし、エルマーは、ほかの象と肌の色が違います。象色の象たちと外見が違うことに悩みますが、エルマーはやっぱりエルマーです。また、かれの周りには、肌の色や個性の違いを認め合う象たちがいます。そのような象たちに目がいきます。エルマーを受け入れる寛容な仲間に共感します。そして「みんな ちがう ぞう。でも、みんな おななじ ぞう」と教えられます。もちろん、象たちに託して人間社会のことを語っています。
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※『 ぞうの エルマー 』デビッド・マッキー作・絵、きむらさとし訳、 BL出版 2002年 (2019/5/10)