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興味を惹かれるタイトルです。
「しあわせとは何か」について考えます。
・・・
大きな国の人びとは、
自分たちの暮らしほど素敵なものはない、と信じています。
大きな国の大統領は、
いろんな国へ戦争をしにいきます。
その論理はこうです。
せかいじゅうの 人びとを しあわせにするためだ。われわれが せかいじゅうを せいふくすれば、みんなが われわれと おなじように くらせるのだからな
みんな征服され、
征服されていない国は、たったひとつになりました。
ひとつだけ残すのも、気持ちが悪い。
(「戦争は 戦争の目で ものを見るのよ」アリス・ウォーカー)
そこで、
大統領と兵隊たちは出発します。
その国についた大統領は驚きました。
軍隊がないのです。
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人びとは、彼らをお客のように歓迎するのです。
大統領と兵隊たちは、
人びとの家に泊まり、
人びととおしゃべりをし、
彼らから石けりや歌をならい、
むかしばなしを聞き、
冗談にわらいころげます。
・・・
生活に溶けこむ兵隊たち。
結局、見張りの兵隊を残して、国に帰ることにしました。
見張りの兵隊たちは、
ふだん着に着がえ、
野原や畑にとびだしました。
一方、
国に帰った大統領と兵隊たちは、みんな大歓迎されます。
「せかいを すくう せいぎの みかた! 大きい国は つよい国!」
・・・
でも、
どこか変 !
小さい国の料理や石けりが流行り、
小さい国の服を着ている人がいます。
ある晩、
大統領は息子にせがまれます。
「お父さん、歌をうたって」。
彼が、息子にうたった歌は、あの小さな国の歌でした。
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「しあわせ」とは何かを語った寓話です。
「せかいでいちばんつよい国」とは何かということを期待して読んだ読者は、物足りなさを感じるかもしれません。また、戦争をなくす解決策をここに見つけだすことはできないでしょう。 風刺もありますが、空想された理想 、ユートピアです。しかし、 このような世界を見たい作者の思いがあります。
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※『せかいでいちばんつよい国』デビッド・マッキー作、なかがわちひろ訳、光村教育図書、2005年
【 追 記 】
文中に加えたアリス・ウォーカーの言葉は、『なぜ 戦争は よくないか』(偕成社)からとりました。彼女は「戦争はなんでもできる/どんな国の言葉も話すことができる」「子育て中の母親たちのところにも/戦争は /やってくるの」「 戦争は /たくさん経験を積んでも/すこしも賢くならない 」とも言っています。 (2021/4/17)